3部分:第三章
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第三章
「気持ちよくなればいいさ」
「後で風呂に入ろうか」
「風呂も用意してもらってるしな」
これもローマの宴ではよくあることだった。
「そこですっきりもしてな」
「気持ちを切り替えていくか」
「しかしな」
ここでまた言う彼だった。
「何だ」
「何だって?」
「どうしたんだよ、また」
「気持ちが晴れない」
それだった。
「どうもな。それがどうしてかもわからない」
「ううん、こりゃ重症かな」
「みたいだな」
仲間達は彼の今の言葉を聞いてまた言い合う。
「まあな。それでもな」
「明るく気持ちを切り替えていこうとすればいいからな」
「それでな」
こう彼に話すのだった。
「後は女のところに行こう」
「いい店知ってるからな」
「そこにも繰り出そうや」
「女か」
バーナムも女は嫌いではなかった。ローマきっての剣闘士とされるようになってからおンナにも全く不自由しなくなった。しかし今はそうではなかったのだ。
「女は今はいい」
「やれやれ、またか」
「全くだな」
そんなやり取りをしながら彼の話を聞いていた。
それが今の彼だった。そうした浮かない日々が続いた。戦いには勝ち報酬にも恵まれていた。だがそれでも彼の表情は浮かないままであった。
この日はライオンを倒した。それでまた歓声を受けた。
「よし、ライオン殺し!」
「やったな!」
「見事だ!」
コロシアムの観客達はまた彼を褒め称える。得意の獲物の斧で一撃を浴びせて倒したそのライオンを見下ろしながらだ。その言葉を受けていた。
しかしその顔は晴れないままである。その顔で歓声を受けてそれで、であった。この日も彼は浮かない顔で控え室に戻る。そして沈黙のまま座り込むのだった。
その彼に対して仲間達はまた言う。徐々に心配する顔になっていた。
「なあ、今の仕事に不満なのか?」
「まさかとは思うが」
「不満はない」
その沈んだ顔で述べた彼だった。
「不満はだ。しかし」
「しかし?」
「どうしたんだ?」
「何かが違う」
彼は言った。
「俺は確かに剣闘士になった」
「ああ、そうだよ」
「それはな」
「しかもチャンピオンになったじゃないか」
仲間達はそれをいいじゃないかというのである。
「それで何が不満なんだよ」
「立派なものだよ」
「今まではそう思っていた」
それを話す彼だった。
「今まではな。だが最近は」
「最近はって」
「じゃああれか?辞めるのかい?」
「だよな。何かそんな雰囲気だよな」
「ああ」
ここで仲間達はさらに心配する顔になった。それで彼を見ながら話すのだった。
その仲間達にだ。彼は話すのだった。
「辞めはしない」
「続けるんだな、剣闘士」
「そうするんだな」
「
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