暁 〜小説投稿サイト〜
K's−戦姫に添う3人の戦士−
2期/ヨハン編
K8 ツヴァイウィング・ガールズ
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えた。
 何が起きても二人を担いで逃げ帰る心の準備だけしておこう、と。






 調と切歌がステージに立った。少女二人にスポットライトが当たった。

《それでは歌っていただきましょう! ええっと》
《月読調と》
《暁切歌デス!》

 ……そこで正直に本名を名乗るのが、ヨハンにとっては愛すべき彼女たちの欠点である。

《OK! 二人が歌う『ORBITAL BEAT』! もちろん、ツヴァイウィングのナンバーだ!》

 伴奏が流れ始め、調と切歌はそれに合わせてステップを踏み始めた。
 この曲は知っている。“QUEENS of MUSIC”の参考に観た、ツヴァイウィングのMVの中にあった。風鳴翼と故・天羽奏のデビューシングルだ。


                  幾千億の祈りも
                やわらかな光でさえも
             全て呑み込む牢獄(ジェイル)のような 闇の魔性


 ――これだ。LiNKERを使ってとはいえ、彼女たちをシンフォギア装者たらしめた歌声。

(“施設”にいた頃は、あくまで仮想敵ノイズ相手の機械的な歌しか聴けなかったから。久しぶりだ。こんなに心から歌う彼女たちを見るのは)


「「 『熱く 熱く 奏でる記憶でリフレインしてる ――命の向こうで』 」」


 ふたりがクライマックスのポーズを決めるや、二度目の満場大喝采が起きた。
 ヨハンは今度、ひどく優しい気持ちで拍手を贈った。

 切歌と調が名乗りを上げた時には頭を抱えたが、さすがと感嘆せずにはおれない。こんなにも刺激的なステージになるなら自分も出ればよかった、とさえ今は思う。果たしてこの学院のプロの教師はどんな評価を下すのか。

《3人とも聞こえますか》
「マム?」

 前触れもなく入った通信はナスターシャから。

《アジトが特定されました。襲撃者を退けることはできましたが、場所を知られた以上、長居はできません。私たちも移動しますので、こちらの指示するポイントで落ち合いましょう》
「――了解、マム」

 事務連絡に混じって聞こえる嗚咽を、聞こえないフリをして通信を切った。

 ヨハンはすぐさま席を立ち、サングラスをかけ直してホールを出た。
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