2期/ヨハン編
K7 歌乙女の祝祭
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
。しかも二人とも親愛のスキンシップの範疇だから怒らない。両手に花とはこの状況か。
「(なに?)」
「(作戦も心の準備もできてないのにっ。カモもネギもないデスよっ)」
作戦はともかく心の準備は、してきていないのはおかしい。
ヨハンは思ったが、口には出さなかった。かわいい二人の気持ちに水を差したくない。
天羽々斬の装者は、こちらをふり返ったが、訝しみ首を傾げただけだった。ヨハンはため息をついた。幸いにして今のしゃべり声で気づかれることはなかったらしい。
「見つけた! 雪音さん!」
見つけた、というフレーズに心臓が跳ねる。腕の中の彼女たちもそうだったようで、びくんと跳ね上がった――のだが。
「お願い、講壇まで! 時間がないの!」
「一体どうしたんだ?」
「勝ち抜きステージで、雪音さんに歌ってほしいんですっ」
「だから何であたしがッ」
「だって雪音さん、すごく楽しそうに歌ってたから」
「////ッ!」
講壇。勝ち抜きステージ。ヨハンは頭にキーワードを巡らせて。
「切歌。ちょっとその学祭の案内見せて」
首を傾げながら切歌はパンフレットを出した。ヨハンはそれを取って、講堂開催のイベントに目を通す。
「【講堂】秋桜祭カラオケ勝ち抜きステージ(終了16:00)」の文字。
時計台を見上げれば、時刻は15:13。
「二人とももう少し寄って」
調と切歌を抱き込んだ。3人は息を殺す。
しばらくして、リディアン学院生3名と彼女らに手を引かれるイチイバルの装者、続いて天羽々斬の装者が渡り廊下を走っていった。
「パンフレットがどうかしたの?」
「うん。二人とも。上手く行けば装者からペンダントだけ奪う目処、立つかもしれない」
「ほんとっ?」
「どうやるんデスか」
腕から出た二人が、ヨハンが広げたパンフレットに注目する。
「今講堂でやってるプログラムだよ。どうもミス・イチイバルはこれに参加させられるらしい。さっきチラッと見たんだけど、このプログラムに参加した生徒が仮装してたんだ。ミス・イチイバルも、これに出て着替えるとしたら?」
「ステージの間は制服じゃない……聖遺物のペンダントも外すかもしれない。そういうこと?」
「調、大正解。僕たちはミス・イチイバルが着替え終わるのを見計らって忍び込んで、置いて行かれたペンダントを拝借する。完璧には程遠い作戦だけど、このまま1日中装者を尾行するよりはマシじゃない?」
「そう、デスね。悔しいけどヨハンの言う通りデス」
「その作戦で行こう」
「ありがとう、切歌、調。――じゃあ僕らも講堂へ急ごう」
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ