暁 〜小説投稿サイト〜
K's−戦姫に添う3人の戦士−
2期/ヨハン編
K5 戦姫vs餓鬼
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、ナスターシャは言い聞かせるようにくり返した。

「それよりもそろそろ視察の時間では?」

 ウェルが視察と言っているのは、“フロンティア”についてだ。
 通称“フロンティア”。F.I.S.によって確認された超巨大遺跡を指す。今夜ナスターシャが内密に最終調査に赴き、正確な位置と封印機能を把握する予定になっていた。

「“フロンティア”は計画遂行のもう1つの要。起動に先立って視察を怠るわけにはいきませんが――」

 ナスターシャは意味深な目をウェルに向けた。

 ウェルは決して裏切りや内通を働いたわけではない。むしろ彼の働きは武装組織フィーネに多くのメリットをもたらして来た。
 それなのに、信じきれない。どうしてか、信じられない。

「マム、僕が残ります。僕がドクターのガードに付きます。それでしたら、主力のマリアたちがマムに付ける。ドクターの心配は拭えるかと思いますが」

 ウェルはヒョイと肩を竦めた。理屈を捏ねない以上はウェルも了承したのだろう。

「……では留守番がてら、ヨハン君とネフィリムの食糧調達でもしておきましょうか」

 舌打ちしたくなったのを、我慢した。






 パープルライトのモニターに日本側のシンフォギア装者が映し出されたのは、夜明けも迫った時刻であった。

 ウェルはタッチパネルの「あるボタン」を押した。

「おもてなしと行きましょう。君はここで他に侵入者がないか監視していてください」

 ウェルはソロモンの杖を持ち、制御室を出て行った。

 ヨハンはモニターに視線を戻す。
 数分そうしていると、モニターにアイロン型ノイズの群れが現れ、スピーカーから若い女子の歌声が聴こえ始めた。

《 『挨拶無用のガトリング』! 『ゴミ箱行きへのデスパーリィー』! 『one,two,three』…ッ『目障りだ』ああああ!! 》

 イチイバルの装者が弾丸を、赤い矢を惜しみなくアイロン型ノイズに降らせる。
 他二名、ガングニールと天羽々斬の装者もそれぞれ拳と剣でノイズを撃退していく。

 一見して快進撃。
 だがそれは長くは続かない。

 装者たちは次々と、武器の形状レベルを落とし、息を荒げ始める。
 少女たちは気づいていない。自分たちがどのような空間で戦っているのか。

(ALi_model_K0068_G。生体と聖遺物の繋がりを阻害し、装者とシンフォギアの適合係数を低下させるガス……苦しいでしょう。僕も散々苦しめられたよ)

 今同じ苦痛を味わっている少女たちへと、旧友にするように心中のみ語りかける。

 ウェルが開発したAnti_LiNKERの気化タイプ。まだ開発途中であるが、効果は実験体になったヨハンがよく知っている。
 適合係数が低下す
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