1期/ケイ編
K prologueT 小日向未来の兄
[2/2]
[9]前 最初 [2]次話
っている。
未来は星空を見上げて手を伸ばす。こんなことをしても、流れ星の一つでも掴めるわけがないのに。
「へえ。すごいな」
ケイが横に立った。
こてん。未来はケイの肩に頭を預ける。ケイは察して凭れやすいよう位置をズラしてくれた。
(わたしが観たかったのは、響と一緒に観る流れ星だったのに……)
大好きな兄と二人きりでいて、ロマンチックなシチュエーションだとは思う。だがそれでも未来の心は満たされない。
「――未来、ちょっとスマホ貸せよ」
「? いいけど、何するの?」
ケイは未来が渡したスマートホンをいじると、天へとかざした。未来は画面を覗き込む。動画撮影モードで起動していた。
「1回ダメだったくらいで諦めるなよ。2回目、誘ってみなって。きっと立花ちゃん、二つ返事でOKくれるぞ?」
「2回目が今日みたいに急用でダメだったら?」
「俺なら3回目を誘うね。この辺から普通の女子はしつこく思ってくるだろうけど、立花ちゃんは未来大好きだから。何度誘っても断らないと思う」
「……都合いいことばっか」
「ポジティブシンキングと言え」
ささくれていた心が柔らかく包み込まれていくようだ。このまま眠ればきっと素敵な夢が見られるに違いない。
「――ありがとう」
「ん?」
「何でもなぁい」
動画撮影を続けるケイにもたれたまま、未来はただ微笑んで流れ星を見つめ続けた。
[9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ