2期/ヨハン編
K3 影と添う
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
、僕らの目論みは今夜で終わってしまいますからね」
さすがに全て翼の真似はできないのか、キックを2発入れただけで青年は立ち上がり、緒川と距離を取った。
緒川はすかさず銃を撃つ。限られた弾数を、青年は右へ左へ避けていく。
(この反射神経、ギア装着中の翼さんにも及びかねない)
どうせ避けられるならば――緒川は青年の影に着弾させる軌道で銃を撃った。
決して当たらない軌道で撃たれたヨハンは、避けることもせず、自身の後ろの床に弾がめり込むのを見もしなかった。
それがアダとなった。
足がその場から動かない。足だけでなく、体全体が。
「Why!?」
母国語に戻るほど動揺した。
「あなたの影を床に縫いつけました。もう動けませんよ」
「影…床ですって? Chasing Shadowじゃあるまいし……っく、この!」
いくら体を捻っても、足はその場に縫い合わされたまま動かない。
「本当はこの場で拿捕すべきですが、先にやることがありますので。あなたの言う通り、世界中の視線の檻から翼さんを解放してあげないといけません。大人しくしていてください」
「く…っ」
緒川は銃口をヨハンに向けたまま後退し、やがて身を翻して走って行った。
ひとしきり試すが、どうやってもその場から動けない。めり込んだ弾丸を外そうとしたが、屈むこともできなかった。
本当に、心の底から遺憾で、致しかりしなのだが。
ヨハンは通信機のチャンネルを切歌と調に合わせた。
「二人とも聴こえる? ヨハンだよ」
《どうしたの? 珍しい》
「マリアのとこに行く前に、ちょーっと助けに来てほしいんだけど」
調と切歌は3分と待たずしてヨハンの前に現れた。
「ナニ変なポーズしてるデスか」
切歌のうろんな目がヨハンの胸に突き刺さった。
「は、はは。まあ、ちょっと。エキゾチック・ジャパンの洗礼を受けたというか。――切歌。お願いしてもいいかな。これ、伐るの」
「しょうがないデスねー」
切歌は紅いペンダントを取り出すと、ヨハンからも調からも距離を取り、祈りの手を組んだ。
「 ――Zeios Igalima rizen tron―― 」
聖詠。シンフォギアを纏う時に詠う、特定のメロディ。
切歌のそれは、さながら枯れた大地すら緑茂らす、潤しい音色。
装着時のエネルギードームが消える。
小悪魔テイストデザインのギアを纏った切歌は、手に持った鎌を大鎌へと変形させて構えた。
「動いちゃだめデスからね。――っは!」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ