2期/ヨハン編
K1 シークレット・コーディネート
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トレーニングを終えて部屋に戻る途中の出来事だった。
居住区の棟が異なるマリアと別れ、ヨハンは調と切歌と歩いていた。
「どうしたの、きりちゃん」
調が声をかけたのは、切歌が幾度も自身の二の腕を揉んだり掴んだりいていたからだ。
「……調。あたしの腕、太くなったと思わないデスか?」
調はジーと切歌の両腕を見つめて。
「太くないよ」
「ホントにぃ? なーんか筋肉付いた気がするんデスよね。イガリマの振り過ぎデスかね…」
「僕にも見せてもらっていい?」
切歌は素直に十字のポーズを取った。
ヨハンは彼女の二の腕を隈なく触る。右、左、と確かめて。
「付いてるね」
「やっぱりデスか」
切歌は重くため息を落とした。
「イヤかい? 普通の女の子より飛び抜けて太くはないけれど」
調もヨハンの意見にこくこく同意する。
「そりゃあ…だってボディビルダーみたいじゃないデスか。こちとら年頃の女の子デスよ」
茶化して答えるものの、切歌の顔はどこか精彩に欠けていた。
“ルナアタック”と呼ばれる災害からちょうど3ヶ月が経ったある日。彼女たちがついに“施設”の“外”に出る日が来た。
多くの準備や根回しが必要となるが、当面必要なものがある。
服だ。
切歌と調はマリアが用意した外出着に着替えるため、別棟のマリアの部屋へお邪魔している。
「こっちが調、こっちが切歌ね。――でも本当によかったの? 私が選んで」
「わたしたち、“外”の流行とか分からないし知らないから」
「特に好きな色も拘りもないデス。アーティスト活動してるマリアのコーディネートなら確実デスっ」
「私も衣裳は付き人任せだけど……とにかく、できるだけ普通の女の子らしく見える物を私なりに選んでみたから、着てみてちょうだい」
言って、マリアは席を外した。
切歌たちはそれぞれ、別のブランドの紙袋の中身を取り出して、背中合わせで着替える。
服を着ていく内に、切歌は気づいた事があった。
「入るわよ。――あらっ。可愛いじゃない」
マリアは戻るなり開口一番、二人を明るい声で褒めた。
調はピンクとコバルト、切歌はモスグリーンを基調としたカジュアルルック。
「マリア。わたしたち、普通の子に見える?」
「ええ。悩んで選んだ甲斐があったわ。可愛く着こなしてくれてありがとう」
マリアがショーウィンドウや服飾店内でサングラスをかけて眉を寄せるシーンがばっちり想像できた。そこを聞きたい気持ちもあるが。
「マリア、あたしのこれ…」
ホーリーグリーンのパフスリーブチュニック。同じ色の腕カバー。
「上腕筋が気になるから腕をなるべく見せない服で、
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