2期/ヨハン編
K prologueU もう一人の家族
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――某日。米国連邦聖遺物研究機関――
その日は月読調の歌唱でトレーニングメニューを行っていた。ホログラフは夜の市街地、仮想敵はノイズ。
リードボーカルは月読調ながら、マリア・カデンツァヴナ・イヴと暁切歌――加えて一人の青年のバトルデータも採取されている。
……を教育してく エラー混じりのリアリズム
人形のようにお辞儀するだけ モノクロの牢獄
青年もまた戦姫らと同じくシンフォギアを纏っている。装甲は白金をベースに、腕の装甲だけが武骨で厳めしい。その腕の装甲こそがアームドギア、白金のバスタードソードである。
バイザーで覆った目に浮かべるのは、冷徹か、諦念か。
だから そんな世界は 伐り刻んであげましょう
青年はバスタードソードで、3…7…10…と仮想ノイズを斬り捨てていく。
そうしてノイズと戦う姿は、青年の実力がマリアらにも劣らない事実を否応なく観測者らに突きつける。
――我がF.I.S.唯一の適合者……
――LiNKERを用いない装者の生き残り……
――……のシンフォギア……
囁き合う観測者の声など意にも介さない(もっとも防弾ガラスで聞けるはずもない)、青年の剣捌き。
やがてフィニッシュ――というところで、ミッション失敗のアラートが鳴った。
パキン。4人分のシンフォギアが粒子に還り、戦姫は少女に、戦士は青年に戻っていった。
「マリア。大丈夫?」
「……ええ、平気よ、ヨハン」
ヨハンが声をかけると、マリアは笑みで応えた。
嘘だな、とヨハンは密かに思った。彼女の妹が生きていた頃から一緒に育った仲なのだ。作り笑いくらいすぐ分かる。
「そう。でも悪かったら言わなきゃいけないよ。マリアに何かあったら、僕らみんなが心配するからね」
「ありがとう。本当に平気よ。ちょっとぼんやりしちゃっただけ」
マリア・カデンツァヴナ・イヴは全米オリコンチャートトップにランクインした、歴としたアーティストだ。こうして仮想敵との戦闘訓練をしてはいるが、同時に2ヶ月後には渡日しての大規模なライブを控えている。
「無理は禁物だよ。マリアは装者と歌手を兼務してるんだから。カバーできる所は僕らもカバーするよ。ね? 調。切歌」
「ん」
「デス!」
返事をしたのは、ヨハンやマリアと同じレセプターチルドレンの月読調と暁切歌だ。
マリア同様、LiNKERを服用してではあるが、シンフォギアを操れる少女たち。
ヨハンにとっては名の通り月であり太陽である、大事な大事な彼女たち。
「頼りにしてるわ」
マリアはくす、と笑んだ。今度は心からだと分かる笑みだった。
「
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