愛と活力の涙
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寂しそうなの?」
戦艦のデッキでメルディはウルティアに質問する。
「私をウルと呼ぶなと言ってるでしょ。ウルは私の母。死んだ母の名よ」
「死んだ?」
「いつか話してあげる」
メルディはウルティアの腕に抱きつく。
「私のお母さんはウルティアよ。それで、いつかお兄ちゃんと一緒に、3人で暮らすの」
「こんな大きな娘はいらないわね」
冗談混じりのウルティアに、メルディは笑顔で返した。
(私は・・・私は・・・)
メルディのマギルティ=ソドムが自分を殺そうとした時、水がその剣を壊し、ジュビアがメルディを抱き締める。
(え?)
ジュビアはメルディを抱きしめ、涙を流している。
(何・・・これ・・・なんで!?なんで泣いてるの!?)
メルディはジュビアがなぜ泣いているかわからず、唖然とする。ジュビアはメルディから一歩離れ、顔を見つめる。
「あなたにも笑顔がある!!あなたにも大切な人がいる!!」
大切な人・・・メルディは二人の人物の顔を思い浮かべる。
(まさか感覚を超えて、感情まで共有してしまった!?)
「生きて・・・」
(そんなことって・・・)
メルディは何が起きたのか理解できない。
「ジュビアも生きる。愛する人のために生きてるの。あなたも同じ!!愛があるなら生きなきゃダメ!!」
(愛・・・)
ジュビアは静かにうなずく。
(ダメ・・・)
(生きる・・・)
(これ以上この女と感情を共有したら・・・)
メルディの涙腺が次第に緩み、目からたくさんの涙が流れ出す、
(愛と活力の涙・・・この感情が・・・)
二人は抱き合うようにその場に膝をつく。
それと同時に、グレイを含めた3人に刻まれた紋章が消えていく。
「お前とは戦えない・・・」
「グレイ様は逃げも隠れもしないわ」
二人は力尽き、水の中へと倒れた。
(ウルティア・・・お兄ちゃん・・・)
メルディは心の中で、最愛の者たちの名前を呼んだ・・・
「メルディ?」
その時、次なる標的を探していたこの男は、メルディの心の声が聞こえ、振り返った。
「気のせいか」
男は呟くと、踵を返して歩き出す。
「待ってろよ。俺はお前が必ず・・・」
男は雨に濡れながら、目的地を目指した。
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