序章2 襲撃
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「さて、ティエナとジンは………」
リオル族の人口は200人ほど。これは他部族と比べても1番少なく、その辺りを見ても新しい部族だと分かる。
「おっ、いたいた」
人が少ないので探し人がすぐ見つかるのは良い点だと思う。
ふわりと膨らむ藍色ボブヘアーの少女と、同じく藍色の髪で、少し長い髪を後ろでをまとめた男がいた。
どうやらそれぞれ自分の武器の手入れをしているみたいだ。
「ジン、ティエナ!!」
声を掛けるとどちらもこっちを振り向いてくれた。
「帰ったのか。………どうやら無事みたいだな」
「ああ、誰が山賊なんかに負けるかよ」
そう言いながらジンと拳を当て合う。初めて会ってからこれが挨拶の様になっていた。
ジンとティエナは兄妹で、サカからではなく、エレブ大陸の更に遠くの別の国からの移住者だ。親も無く、最初は誰とも馴染もうとせず、ずっとリオル族の皆を警戒していたが、親父や母さんが真摯に相手になった影響で今では家族の様な関係になった。
ジンは俺より1つ年上の18歳であるが、兄と言うよりは一番の親友の様な関係で小さい頃から過ごしてきた。キリッとした目つきに紳士な振る舞い、そして民族衣装を着ていながらも感じる気品溢れる雰囲気に女性のファンが多い。
リオル族だけでなく、サカの部族の中で唯一槍を得意とし、その腕前も相当なものだ。
「………」
そんな中ティエナは頬を膨らませて俺を睨んでいた。
「ティエナ………連れていかなかった事、まだ根に持ってるのか?」
「だって、今度は連れて行ってくれるって言ってたのに………」
そうふてくされながら弓の弦を弾いたりしていじりながら呟いた。
こんな子供っぽい反応を示すティエナは俺より2つ下の15歳。年齢と見比べても幼く見える背丈のせいか、2年位まではもっと幼く見えていたのだが、段々と体型も大人の女性らしくなっており、昔ほど幼く見えなくなりつつあった。
………しかし、そんな姿でも既にその年でリオル族の中で弓を扱わせれば一番上手く、遠くを見据えられるタカの様な目と、自分の背丈とほぼ同じくらいの大きさの弓、『大弓』を使い、かなり遠くから相手を狙い撃てる技術を持っている。
小柄なのに自分と同じくらいの弓を扱う力がどこから出てくるのか未だに不思議だ。
「で、どうだった?」
「………だめだ、結局いつも通りだ。ガベラの奴はいなかったし、ガベラの居場所は誰も知らなかった。………全くはた迷惑なやつだよ本当に………」
と愚痴を溢す中、そもそもの目的を思い出した。
「そうだった!!ジン、ティエナを親父に連れて来てくれって言われてたんだ」
「アルスさんが?分かった」
そう言って手入れし終わった槍を持ち、、ティエナも無言で弓を持ってジンについて行く。
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