眼鏡と鬼
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んごーのリクエストで”北酒場”を演奏していたら、お客様が二人やってきた。
私がいつも座ってる席に、男の子が座ろうとしているけど、どうしようか迷っていたら、
「申し訳ありません。その席は空けてもらえませんか?リザーブなんです」
飛白がそう言ってくれて、うれしくなる。私がいつもその席に座るの、わかってたんだね。
「カエン、こちらに座りなさい」
「なんだと! イタっ!本の角で殴るのヤメロ!」
ブツブツ文句を言いながらカエンと呼ばれた男の子は席を譲ってくれた。
小学6年生くらいかな。私よりは年下だよね?
「譲ってくれてありがとう。えっと、カエンくん?」
席で本を読んでるメガネのお兄さんの、向こう側に座った男の子にお礼を言ったら、
「オレサマは男でも女でもない」
? よくわかんないけど”くん”は付けないほうがいいのかな?
「カエン、でいいですよ。私はシヅキ、姿に月と書きます」
「は、はじめまして。わたしは香りが澄むと書いて香澄といいます」
本から顔を上げて自己紹介してくれたので、ぺこりと挨拶してみる。
名前のとおり夜に浮かぶ白い月のような髪の毛を束ね、銀縁メガネの優しそうなお兄さん。
「オマエは人間なんだろ。エサで十分だ」
「こらカエン、失礼ですよ。香澄さん、ですね。はじめまして」
「えっと、姿月さん‥‥ですね。よろしくお願いします」
「カエンに呼び捨てされ慣れているので、さん付けはよしてください。
どうぞ姿月と呼んでいただけますか?こちらこそよろしくお願いします」
すごく、普通だ。 男の子、カエンはちょっと偉そうで、生意気そうだけど、
お兄さん、姿月は、やさしそうで柔らかい物腰しで、まるで人間みたいだ。
見た目も姿月は白髪だという以外、どこにも変わったところがない。
カエンはちょっと変わった‥‥着物より古い時代のものっぽい服を着てるけど、
姿月は普通のラフな洋服を着ている。もしかして、人間、なのかな。
「えっと、姿月も人間じゃないの?」
ちょっと遠慮がちにきいてみる。あやかしか人間か、なんて、
どっちだったとしても、いきなりこんな質問は失礼だろうけど、気になるんだもん。
「私ですか?私はカエンと違い人間ですよ」
「”元人間”、のまちがいじゃないか?」
「……人間です」
メガネをあげてそう言い切る姿月。
なんだろう?ちょっと引っかかる言い方だよね。
「お待ちどうさま!裏子スペシャルです!」
「おーうまそうだな!」
カエンはいそいそと裏子の大盛り料理を口に運ぶ。
見た目はやっぱりモザイク処理必須だけど、ここにも裏子料理ファンが……。
意外とファンが多いのは知ってるけど、理解はできない。
「じゃあ、カエンは人間じゃ
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