暁 〜小説投稿サイト〜
BloodTeaHOUSE
カクテル
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しないよね。

なんて思いながらワインを口に含む。とたん、口の中がお花畑と果樹園に………っ
何百という種類の花と果物の香りと蜜の味が織り混ざった楽園のような味がする。

「ほぁ……す、ごい……」
「おいしい?」
「…ごめん、…うまく…言えない、くらい」
「それは良かった」

飛白はにっこり笑って、何でもないことのように言うけど、
ワインって、こんなにおいしい物だったんだね。感動だよ!!

目を真ん丸に見開いて、薄金色の液体をじっと見つめる。
この透明な金色が口の中であんなふうに広がるなんて思いもしなかった。
急いで飲んじゃうのはもったいないけど、でももう一口とグラスをかたむける。

「こういうのを、甘露っていうのかも」
なんてつぶやいて、ほぅっと息を吐く。

美味しいものは大好きだし、飛白の用意してくれるものは
いつもすごくおいしいけど、これはその中でもとびきりの1つだと思う♪

なんて、うっとりしてたのに、とつぜん裏子が横から大声で怒りだす。

「おいっ!なんであんただけ飲んでないんだよっ!ずるいぞ!」
「飲んでるじゃないか、ホラ」
「酒の量がさっきから変わってな〜〜〜いっ!香澄もそう思うよなっ!」
「えぇ〜?だ、だって、わたしの相手、してくれてたんだし‥‥」
「うるさいうるさいうるさ〜〜〜い!いいから飛白はさっさと飲めっ!」
裏子の剣幕に押されて、というか、半分のしかかられて、お、重いんだけど。

「わかったから、香澄ちゃんを押しつぶさないようにね、ホラこれでいいだろ?」
なんて、手の中のグラスに半分ほど入ってるお酒をくいッと空けてしまった。
「まだまだぁ!」
裏子が酒瓶を掴んでドボドボと飛白のグラスに注いでいく。
匂いからしてキツそうなお酒なんだけど、そんな飲み方して大丈夫なのかな?

けっきょく裏子が寝ちゃうまで、のしかかられっぱなしで、別の意味で潰れそうだった。
裏子とんごーにはソファで寝てもらうと、ようやく落ち着いた状態になった。

「う〜…重かったよぉ…」
飛白に助けてもらって、やっとまっすぐ座れるようになったよ。
「こらこら、女の子相手に言う言葉じゃないだろう」
そういう飛白だって苦笑してるじゃないの〜。

私は席で、飛白はカウンターの向こう側でグラスをかたむける。静かだけど心地いい時間。
2杯目のワインが空いた頃、なんだかふわふわしてきた。

「飛白は座って飲まないの?」
そう、いっつも飛白はカウンターの向こう側なんだよねぇ。座って飲めばいいのに。
「君が構わないなら、僕は座るけど」
けっこう飲んでるはずなのに、ぜんぜん飛白は酔ってるふうには見えない。
「となりに座ってほしいな〜」
ぽんぽんと席を叩いて、甘えるようにねだってみる。

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