吸血鬼の命
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………僕は………………君を………………………き、みと………っ……」
言いかけて、逡巡し、結局声にならなかった言葉。
「………君と、僕では命の長さが違いすぎる………………
君とともにいればいるほど、君を失った時の喪失感は、きっと大きくなる………」
代わりに話すのはとても現実的なこと。
私は飛白が生きた時間の半分もすれば死んでしまう。人間だから、飛白を置いて……
「だったら、わたしが吸血鬼になる!そうしたらずっと……」
「!! バカな!そんなことをしても 僕は 後悔するだけだ!」
ぴしゃりと厳しい声音で言われ、きゅっと唇を噛んで俯く。
死のない苦しみがわからないのかと、言外に叱られた気がした。
だって、長い年月飛白を1人になんてさせたくなかったんだもの……
この先どのくらい生きるのかわからないけど、私は年月を重ねるごとに変わっていく。
大人になって、年老いて、死んでしまう。変わらない飛白を、置いて逝ってしまう。
エゴだと言われてもいいから、離れたくない。
傍にずっと、いたい。傍にいられるなら、人じゃ、なくなってもいい。
「………なぜ…そんなことを、君は言えるんだ……」
「…わたしがいなくなったら…喪失感があるなら…ずっと傍にいたい…」
誰かを失う喪失感を、私だってどんな気持ちか少しは知ってる。
そんな思い、飛白にはさせたくない。
「君は……強いな。僕とは大違いだ…」
ふるふると首を振る。違うよ飛白、私は馬鹿で我儘なだけ。
飛白が後悔したって、”ずっと傍にいられるなら” なんて考えてしまう。
ただのバカでワガママなだけの子だよ。
「わかったよ、君の傍にいよう。……君に無茶な気を起こさせないように。 そのためには
僕自身が強くならなくてはね。……その………僕も、君の……傍にいたい…から……」
最後の言葉に思わず顔を上げて飛白を見る。 …聞き間違い、じゃない、よね?
飛白も…私の、傍にいたいって……思う、の?
もう1回聞きたいけど、どうしていいのか分かんなくて、じっと飛白を見つめてしまう。
あ…れ? 飛白…ちょっと顔赤い? もしかして、照れてる…の?
なんて思ったら、私までなんだか恥ずかしくなってきて、赤くなる顔を隠すように伏せる。
「こらこら、そんな顔をしないでくれないかな。僕だって恥ずかしいんだから…」
顔は熱いし、ほっぺは緩んじゃうしで、どうしたって変な顔になっちゃうんだもん。
ぺしぺしとほっぺを叩きながら、誤魔化してると、
「この話は僕たちだけの秘密、だよ」
そっと耳元でそう囁かれた。
うん、知られるのは恥ずかしいし、2人だけの秘密にしておきたい。
「香澄、君のしあわせを、願っているよ」
「飛白、あなたのしあ
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