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BloodTeaHOUSE
食事と闘争
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側についていてくれる。それだけでなんだか安心してしまう。
横目で見るうにゅうモドキの食事風景もこうして見てるだけなら、なかなか楽しい。

「えへへ、具合悪くなったとき、そばに人が居てくれるのって安心するんだね」
「当たり前だよ、具合が悪い時は誰かがそばにいるもんだろ?」
「そっかぁ‥‥」

そういう当たり前って、ずっと前になくなってた気がする。
いつごろだったかな?たぶん、親戚の誰かが、毎年私の誕生日が、お葬式になることに
気がついたくらいのころだから、ずいぶん前になるな。

「香澄ちゃんは、家で具合悪くしても誰もそばにいてくれないのかい?」
「もう、そんなことで、心配されるような、年じゃない、よ〜…」

へらりと笑おうとして失敗する。飛白のこういう鋭いところはちょっと困る。
ここでは現実のことなんかあんまり考えたくなかったのにな‥‥‥
腕で覆った顔からは、水が溢れ出してしまう。やだなぁ、みっともないよね、

「香澄ちゃん、君が話して楽になれるなら、話してごらん?」
「でも‥‥きっと気持ち悪いって思う、から」
「なーに言ってんだよ!アタシたちを見てみろよ!少々のことじゃ驚かないって!」
「そやで、聞くだけくらいしか出来んかもしれんけど、嫌ったりせんから、な?」

みんなの言葉に背中を押されて、ようやくぽつり、ぽつり、と話しだした。
毎年誕生日に行われるお葬式のこと、妹のこと、父のこと、母のこと。親戚たちのこと。
そして、今年の誕生日がすごくすごく特別で幸せな日だったこと。

「ふふっ、ウソみたいな話でしょ?」

すんっと鼻を鳴らして笑う。私だって、自分の話じゃなかったら信じられないもん。
親戚から死神だと言われるのは、別にそんなに気にならなかったけど、
両親に腫れ物扱いされるのは、やっぱり悲しかったな。

「ほな嬢ちゃん、今家に1人で暮らしとるんか?」
「うん。死んでいったのがね、私から血筋の遠い人たちからだったから‥‥
 それに、母の遺言で”施設には入れるな”っていうのもあったし」

「家に1人じゃ寂しくないのか?」
「1年以上も経っちゃったからね。ずいぶん慣れたよ。ハウスキーパさんもいるし。
 それに、今年は誕生日に登校も出来たし、素敵な出会いもあったもん」

うんっと伸びをする。話してるうちに具合がよくなってきちゃった。
起き上がって笑いかける。生きてるのか死んでるのか、あやふやな人たちだからこそ、
私にふさわしい出会いだったんじゃないかなって思うんだ。

「さみしい時は僕の家に泊まりにおいで。嫌なこと全て忘れさせてあげるよ」
「そんなわけにいくか!寂しかったらここに泊まればいいだろ!この変態っ!」

ワーワーギャーギャーと言い合いが始まったのを見なが
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