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BloodTeaHOUSE
君を信じたい
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夏休みも終わり、元どおりの期間にお店に通うようになったある日、
お店の前でばったりと飛白に出くわした。

「あ、こんばんは。飛白」
「ようこそBlood Tea HOUSEへ」

なんて、キザなお辞儀をする飛白。ちぇっ、私もなにか気の利いたこと言えばよかったな。

「いつも来てくれて嬉しいよ。君は本当にこの店が好きなんだね」

お店は好きだけど、好きなのはお店だけじゃないのに。
もしかして、もしかしてだけど、前に言ったこと、なかったことにされてるのかな‥‥?

「お、お店も好きだけど、飛白に会いに来るの、楽しみ、だから……」
「え……………………… あぁ、すまない。………少し、意外で、驚いてしまった」

「わ、わたしの気持ちは、前にちゃんと……わ、忘れちゃった?」

もうそれだけ言うだけで、顔から湯気が出そうになる。
忘れられてたりしたらどうしよう‥‥‥たぶん、絶対泣いちゃうよね。

「いや、覚えてはいるよ……………… だが、前にも言ったろう?」

きゅっと口をつぐむ。わかってる、受け入れられない想いなんか迷惑だよね。
前もすごい拒絶された。キツいこと言われるのかと体が硬くなる。

「僕がどういった人間なのか、そして、君の好意は一歩通行で終わるとも。
 僕には、心がないのも同然なのだからね」

飛白が自嘲気味に吐く言葉。人を、誰も、信じられない……
一夜を共にするなら誰でもいい。そう言ってたよね。でもね、でも!

「飛白に…心がないなんて、思えない、よ……」

私の知ってる飛白はほんの一部分だけ。それでも、心がないなんて思えない。
嘘だけで出来てるなんて思えない。花火で火傷したとき、心配してくれた。
オムライスが好きで、おいしいって言うと、いつもより嬉しそうだった。
チョコの匂いが苦手。バイオリンを弾くときの顔。ぜんぶ嘘なんかじゃい。

「…………………………はぁ。
 なぜ、僕自身のことを他人の君が断言できるんだい?
 そのほうが都合がいいからかい?自分の都合で僕を捻じ曲げて見るのはよしたまえよ」

呆れたような声に、心が軋んで痛い。それでも、首を縦には振れない。

「……ほら、ご覧の通りだ。僕は君の考えてるような人間ではないだろう?
 君の、描く理想とは程遠いはずだ」

顔を背け、そう言うけど、人をからかってばかりだけど、エッチなことばっかり言うけど、
誰も信じられない人だけど、夜の相手取っ替え引っ替えしてるけど、それでも………

「わ、わたしは、理想の王子様なんか、求めて、な、い……飛白が、いい…」

見た目に騙されてるんじゃないって、頑張って伝える。
も、もちろんすごくかっこいいし、美形だけど、そこだけが好きなんじゃないんだもん!

「まさか
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