人を愛せない
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……の。
もっとあやふやで…不確かだけど…いつの間にか心に芽生えた、気持ち。
「ぃ、いっしょに…いたぃ……の。 飛白と…いっしょに…傍にいたい…」
うつむきながら自分の手をギュッり握り締めて、胸の中の言葉をこぼさないように伝える。
「いっしょに?…側にいたい?………僕と?…………一緒にいたいから…?
ははっははははっ」
わ、笑われた…何も笑わなくても……涙が出そうになるのをぐっと唇を噛んで我慢する。
「……なるほど 理屈じゃない、そう言いたいんだね。 君の言いたいことは理解したよ。
まったく、女の子っていうのは平気でめちゃくちゃなことを言ってのけるんだね」
私、そんなにめちゃくちゃなこと言ったのかな?…困らせちゃったかな?
「…………違うか、むしろ それが自然なのかもしれない………
そうやって自分の感情に素直に従うほうが、人間らしい。多分…そうなんだろうね……」
ふと沈んだ声になり、そうっと顔を上げる。
「……飛白は、違う、の?」
「違うね。僕の殆どは虚構や虚飾のハリボテで出来ているんだ。
偽り、嘘、そういうもので保っているのが僕という人間なんだよ」
そう、なのかな?私が見てきた飛白はウソっこなのかな?
「……………………………………過去の、後遺症とでも言おうか。
人を…信じられなくなってしまったんだ。そして……愛することを忘れた」
2百年………永い永い時間、飛白は生きてきた。
私が想像もつかないような長い生の時間…心が凍ってしまっても仕方ないのかもしれない。
「僕はそんな人間だ。 だから、君の気持ちは受け取れない……応えられない。
さっきは、失礼な事を言って…すまなかったね」
ゆっくり首を振る、飛白が悪いんじゃないよ。
そうやって、気持ちに鎧を纏わなくちゃいけないなにかが、あったんだよね。
でも……心が凍ったままなのは切ない……… 私じゃ、力不足かもしれないけれど…
「ぉ、もい…だそう? 信じる、こと 思い出そう、よ・・・」
私は何もしてあげられないけど、傍にいたい・・・側にいていっしょに笑って欲しい。
「……ぇ?……………そんなことが今更できるとは思わないけど…
…でも、ありがとう……
僕も君を…………君を愛することができれば そう思うよ……」
ううん、私の気持ちをちゃんと聞いてくれた。
受け取ってもらえなかったけど、応えてもらえなかってけど、心は痛いけど、我慢する。
私の時間が終わるまでに飛白の心が柔らかくなればいい。いつか、そんな日が来ればいい。
「……せっかく来てくれたのに、つまらない話ばかりしてしまったね。 すまない……
でも、まさか、こんなことを話せる人に出会えるとは思ってなかっ
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