人を愛せない
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発熱までして自覚した、私の気持ち。ちゃんと飛白に伝えたい。
でも、どうすればいいのかわかんない。お店ではいつも裏子やんごーがいるもんね。
3人でいるときには言えないし、裏子は私と飛白が2人になるのを許さないよね。
そんなことを考えながらお店の前に来ると、ちょうど飛白が出てきた。
「!!」
こ、こここ、これってチャンスだよね?でも、何も考えてなかった!だ、大丈夫かな?私…
だめだめ!今を逃したら次にチャンスがいつ来るかなんてわかんないんだから!
えーっと、あー!なに言えばいいんだろ。
「やあこんばんは。せっかく来てくれたのに悪いけど、いろいろあって店は準備中なんだ」
見ればお店の窓にヒビが入ってる。また2人して暴れたのかな?
いやいや、そんなことより!言わなくちゃ!せっかくのチャンスなんだから!!
「ぁ…ぇーと、きょ、今日は…か、飛白に…会いに来たの……」
赤くなる顔が恥ずかしくて、うつむきそうになるけど、声が聞こえるようにがんばる。
「そう…………僕に会いに、ね」
言葉を吐き出すように言う飛白に顔を上げる。そうしたら片手で顎をつままれて、
「なら君と甘い時間を過ごそうか?今まで君が経験したことのないような甘い時間を……ね
………………なんて言うと思ったかい?」
顔を近づけてそういう飛白は、月の光のせいかいつもと違って見えて…なんだか怖い。
「確かに僕は今まで君を誘うようなことをしてきたけれど、君に好意があるわけじゃない。
僕はね、愛してもいない人間と一夜をともに過ごすことなんてなんとも思わない。
そういう人間なんだ。もし君が僕からの好意だと勘違いさせてしまったのなら謝ろう。
君は利口な子だ。嫌な夢でも見たと思ってくれればいいよ」
それだけ言うと、アゴから手が離れた。
「それとも僕にペットのように扱われるのがお望みかい?
そんなのは耐えられないだろう? さ、わかったのならお帰り」
飛白の言葉一つ一つが胸に突き刺さるように痛い。でも、私の気持ちを伝えられていない。
ふるふると首を振って、帰らないと伝える。……次、があるかどうかもわからないんだ。
「・・・・・前言撤回。どうやら君は頭に藁クズの詰まった馬鹿なお人形のようだね」
ああ、飛白がすごく呆れた声をしている。自分でもバカだと思う…
馬鹿なお人形だなんてこんなにひどいこと言われたのにまだ好きだなんてほんとバカだ。
「どうして君は僕を選ぶ?これだけ言ってもまだ分からないのかい?何のためだい?
君にとって、それはどんな得があるんだい?」
詰問するような口調に変わった飛白に上手く答えられなくて、でも。
違う。違うの。損するとか得するとかそんな形のはっきりしてるものじゃない…
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