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BloodTeaHOUSE
記念日
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が寝てる。
喉にも呼吸用の管が繋がってるからお父さんはもう話すことができない。
お母さんに押されて近寄ってみるけど、皮と骨だけになったみたいな手とか足が怖くて、
名前を呼ぶのが精一杯だった。
お父さんはゆっくり頷いてそのまま目を閉じて動かなくなった。
病室に集まった人達はみんなすすり泣いてた。
苦しそうなままのお父さんの顔を見てると視界がぼやけてきた。
ぼやけた視界からまた場面が変わった。
薄暗い霊安室。警察の人に連れられてその部屋に入ると、一台の台車が置かれていた。
台車の上にはビニールシートが被せてある。
誰かが「ご確認お願いします」そう言ってシートがめくられた。
頭をぶつけたのか轢かれたのか、右側の部分がが赤黒く染まっていて潰れていて、
その場で胃の中身を戻した。
口の中のすっぱい味と気持ち悪さに蹲ってるとまた場面が変わる。
何度も何度も変わる場面はどれも人が死ぬところ。
見た訳でもないはずの場面まで出てくる。
川から引き上げられるオジサンや、首を吊ってる従兄弟なんか見なかったのに。
そのうち、知らない人の死ぬところまで流れていくようになる。
助けて!こんなのもう見たくない!叫んで目を閉じても映像が直接脳に流れ込んでくる。

「…ん……ゃん……みちゃん……」
揺すられる体と呼びかけられる声に意識が浮上していく。

「香澄ちゃん?」
「………………ぁ」

目を開くとぼやけた飛白の顔と知らない天井があった。

「…か…す、…り?」

状況がよくわからなくて名前を呼ぶ。
そうだ、ドッキリに引っかかってたくさん泣いたんだっけ。
瞬きしたら涙がこぼれて、また泣いていたことがわかった。

「家の人が心配するだろうから、そろそろ帰ったほうがいいと思って起こしに来たんだ。
 ちょうど良かったみたいだね。うなされていたよ」

目元を拭きながら体を起こすと、こじんまりとした部屋が目に入る。

「ここ…は……?」
「店の2階だよ。昨日君が寝てしまったから、余ってる部屋で寝てもらうことにしたのさ」

えっと、ここはお店の2階、昨日たぶんいっぱい泣いたから寝ちゃったんだ。

「んごーと裏子は?」
「眠気に負けて休憩室で寝てるよ。夜中に何度も君の様子見に行ってたからね」

迷惑かけちゃったな。

「あの、迷惑かけてごめんなさい。それと、泊めてくれてありがとう」

ぺこりと頭を下げる。

「迷惑ではなかったし、お礼を言うなら涙を止めてからだね」

そう、私の涙腺は壊れてしまったみたいにポロポロと涙をこぼす。

「ご、ごめんなさぃ…」

そう言って何度も目をこするけど、涙は止まってくれない。
こんなことは初めてでどうすればいいのかもわからない。

「そんなに夢が
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