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BloodTeaHOUSE
記念日
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る。午前2時15分だ。

「とりあえずこんな格好のまま寝かせとくんはアカンやろ」
「なら僕がソファの方の運ぶから、何か彼女に掛けるものを持ってきてくれないかな」
「アタシの毛布でいいか?んごーのはオヤジくさそうだし」
「いらんこと言うてんと早よ行ってこい!」
「「 シーッ! 」」
「す、すまん…」


ソファに下ろし、毛布を掛けると密かに身じろぎし小さな声を出す。

「……ん…」

起きたのかと3人で覗き込んでみるが、そのまままたすぅすぅと静かに寝息をたてはじめてしまう。

「アカンな、熟睡しとるわ」
「起きそうにないなー」
「それはいいんだけど…」

珍しく飛白が困惑した顔をしている。
見るといつの間に掴まれたのか、飛白のエプロンの端が握られている。

「ぷっ」

裏子が思わずといったふうに吹き出す。

「笑い事じゃないよ、これじゃ動けないんだけど」

腕を組んで苦笑いするけど、振りほどく気はないようだ。

「お前いつも仕事してへんやん」

んごーは何を今更言ってるのだ、といったふうである。

「ここじゃ香澄に不埒なことできないもんなー。いい薬だよ」

ニヤニヤ笑ってざまみろとばかりに裏子は言う。

「……やれやれ」

諦めたのか、手近なところにあった椅子を引いて腰を掛ける。

「で、どうするんだい?」

起こすか、寝かせておくか、ではなく、
このままここに寝かせておくわけにはいかないだろうといったニュアンスの言葉である。

「もうちょい様子みて、起きそうになかったら2階に泊めたるか?」
「そうだな。早めに起こせば家の方も大丈夫だろ」

幸いなことに居住部分である2階には部屋が余っている。

「なら僕は付き添いかな」
「んなわけないだろ!エプロン外せばすむことだ。バカ!」

笑顔で不穏な発言をする飛白を裏子白い目で見ながらが釘を刺す。

「寝てるところを襲うのも楽しそうだったのに、残念だね」

そう言いながら、香澄の長い髪の毛を梳いてやる。
黒くてまっすぐな髪の毛はしっとりとしていて質のいい絹糸を思わせる。

「そんなこと この裏子サマが許すワケ無いだろ!」

座ってるせいで目線の下がった飛白を見下ろし腰に手を当てビシッと指をさす。

「騒ぎなや、嬢ちゃん起きてまうで」
「わ、悪い…」

3人とも彼女を起こす気はないようである。

「じゃ、使ってない部屋片付けないとだな」
「裏子の部屋はアカンのか?」
「んー。アタシのベッド狭いんだよネー」

ごまかすように笑う裏子。

「寝相が悪いから香澄ちゃんを蹴り落としてしまうかもしれないしね」
「なっ、なんでお前が知ってんだよ!」
「おや、図星かい?」

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