記念日
[2/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
いに騙されたりしないもんっ!とぷぅっとほっぺたを膨れさせてると、
「スネてる顔もかわいいけど、これにこりずに店に通ってくれたまえ」
くしゃくしゃと頭を撫でられる。
「…うん」
あったかいミルクとおんなじくらい、やさしい手。
「まさか嬢ちゃんがあんなに大泣きするとは思わんかったなぁ」
「香澄ちゃんの感受性か強いのはわかっていただろう?」
「でも、そないにこの店 好いてくれてるっちゅうんは、なんや嬉しかったなあ」
あらためてそう言われるとちょっと照れる。
なんて言えばいいのかわかんなくって、黙ってミルクを飲む。あったかい。
あのとき、裏子か消えちゃって、どうしようって思ってとき、飛白が出てきてくれて、すごくホッとした。
思いっきりしがみついて泣いてしまったな。
飛白だけでも消えて欲しくなくって、手の中のシャツが消えないようにって思いっきり掴んでしまった。
おかげで、いつもぴしっとしてる飛白のシャツにはシワがついちゃったし、涙の跡だらけだ。
「えと、シャツ……ごめんね」
とりあえず謝ってみる。とたんに涙がまたこぼれた。
やだなぁ。これじゃ情緒不安定みたいじゃない。
ゴシゴシと目元を拭いながら、抱きついた時の飛白のことを思い出す。
夢中だったけど、恥ずかしいことしちゃったなぁ。
「気にしなくていいよ、裏子ちゃんたちが悪いんだから」
「なんだよーちょっとしたイタズラだろ?」
「まあまあ、泣かしたんはワイらやねんから」
わいわいと言い合いしてるの見て、今いてくれてることを実感したら涙がまたこぼれる。
「こーら、いつまで泣いてんだよ」
裏子にぽんと頭を叩かれる。
「あはは、そだよね。でも、みんながいるんだなーって思ったらうれしくって」
照れくさいけど、正直に言う。
もう誰かとのお別れなんてしたくないな。
そんなの無理だけど、せめてこのお店の人たち、飛白たちとだけはずっと一緒にいたい。
「今度は嬉し泣きかいな」
「忙しいやつだなー」
「どうせ君を泣かせるなら、僕はベッドの上がいいね」
「ダマレ」
通常運転に戻ったのに安心したのか、いっぱい泣いて疲れたのか、あったかいミルクのせいか、
いつの間にか香澄は眠り込んでしまった。
「あちゃー、嬢ちゃん寝てしもたみたいやなー」
カウンターに突っ伏してすぅすぅと小さい寝息を立てる、目元は擦りすぎたせいか、少し赤い。
「どーすんだよ、コイツ明日も学校だろ?」
「その前に朝になって家におらんかったら親が心配するやろ」
「じゃあ起こすか?」
「それもかわいそーやなー」
「こんな時間だしね」
ちらりと時間を確認すると壁の時計はとっくに日付を越えた時間を指してい
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ