アマーティ
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さん弾いてやってくださいね」
お礼ってわけじゃないけど、むき出しでバイオリンを持ち歩くわけにもいかないから
ケースを選び、弦、松脂などを一式買って、弓を置いてある種類だけ全部買った。
弓は作り手によってそれぞれ少しずつバランスが違うから、
しっくりくるのを探す時間がなかっただけなんだけど。
値段?それはナイショ♪
帰りの車の中で弓を試してみる。
何本かは、これは絶対に合わないって思って、候補から外す。
エアバイオリンだからあんまり当てにならないし、
車の中でバイオリンを出すのは怖いから、アリかなってのとナシだな程度。
家に帰ってさっそく弓を構えようとして、近所迷惑だと気がついた。
アリかなって思った3本とバイオリンを持ってお店に向かう。
「飛白!見て、新しいバイオリン。今日から教えてもらってもいい?」
笑顔で飛白にバイオリンを見せると、驚いた顔で
「もう見つけたのかい?もっと時間がかかると思っていたよ」
なんて言うから
「運命の相手というのは出会うべくして出会うものなんです」
なんて、胸を張って言ってみた。
だって、まるで私のために作られたみたいにぴったりだったんだもの。
「ではその運命のお相手を僕に紹介していただけますか?」
恭しく頭を下げる飛白は相変わらずキザだ。
「ふふっどうぞ」
笑いながらバイオリンケースを開けて取り出して見せる。
私だって早くお披露目したくってたまらないのだ。
「これは・・・」
私のバイオリンを一目見て飛白が息を呑んだ。
やっぱり見ただけでわかるんだね。すごく美人さんだもの。
「素敵なお相手でしょう?口説くのに苦労したんだから」
なんていたずらっぽく笑ってみせる。なんせ学校を三日も休んで交渉したんだからね。
胴の中を覗き込んだ飛白が目を丸くして振り返る。ふふっ。
アマーティのシール見てびっくりしたのかな? 写しなのはわかったみたいだけど。
「なるほど、確かに運命の相手だね」
「でしょ?しかもね、誂えたみたいにぴったりなの」
そういって受け取ったバイオリンを構える。
ここでなら、お客様もいないしいいよね、なんて音を紡ぎ出す。
「そんな高嶺の花をどうやって射止めたんだい?」
「毎日窓の下で愛の歌を歌ったのよ」
「闇夜に紛れて攫ったんじゃなくて?」
「わたしは怪盗ルパンじゃないもの」
エルガーの愛の挨拶を奏でながら楽しくおしゃべりする。まあ、驚くよね。
このレベルのバイオリンは、中学生がホイホイ買える額じゃないし。
でも、これはホントに運命の相手だと思う。
プロを目指さないなら、たぶん一生のお付き合いになるから。
こうして飛白とのバイオリンの練習が始
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