アマーティ
[4/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
を話すのは得意じゃないの。
「あ、飛白。オススメの楽器屋さんってある?」
そうそう、なるべくならいろいろ置いてるところに見に行きたい。
専門店なら看板楽器に有名なの置いてるかもしれないし。
「詳しくはわからないけど、やっぱり音大の近くに多いんじゃないかな」
そっか。そうだよね。需要の多いところにお店は出来るんだから。
「ネットで検索してみるね」
「いい楽器が見つかるといいね」
「うん♪」
その夜パソコンで国内の音大や音高を調べて、その近くの楽器屋さんを探した。
幾つかピックアップして、どういう順路で回るか考え、足を手配してから寝た。
次の日、学校はお休みして一日借り切ったハイヤーで楽器店をまわった。
一軒目は、楽器の管理が恐ろしくずさんで、ショウウィンドウから見えるように
飾られたバイオリンには直射日光がガンガンに当たってた。
試しに弾かせてもらったけど、音はなんというかお察しの通りって感じだった。
店内の楽器は意外とまともでそこそこの音色。
ただ、ネックが太っかったり、バランスがイマイチだったり、
音は自分のものよりずっと良かったけど、これだ!っていうのが見つからなかった。
2軒目は、まともな弦楽器専門店で、アマーティの写しが飾られていた。
新作や中古を5,6本試し引きさせてもらって、最後にアマーティの写しを手に取る。
姿もさすが写しだけあって綺麗で、ネックの太さやバランスが
まるで私のためにあつらえたようにしっくりくる。
音は‥‥あぁ、すごく素敵。飛白のバイオリンも素敵だったけど、同じくらい素敵‥‥
いつまででも弾いていたいと手が主張するのを、我慢して止め、
値段を聞くと非売品だと言われた。多分この楽器店の看板なんだろう。
写しとはいえ、名器の写しの出来がいいものは数が限られる。
でもどうしても諦められなくて閉店まで粘りに粘って交渉したけど、ダメだと断られた。
次の日は朝から閉店までずっとお願いと試し弾きと称してバイオリンを占有をしていた。
このバイオリンのことをどれくらい好きなのか音で分かってもらうしかないと、
一音一音心を込めて弾いた。
三日目の閉店間際に「売ってくれるまで毎日朝からくる」と
半ば営業妨害の宣言が決め手となり、ついに店主が根負けした。
「そこまで求められるなら、こいつも本望でしょう」
店主は布でキレイに手入れしながら、愛しそうにバイオリンを見る。
「バイオリン、好きなんですね」
「今はしがない楽器店の店主ですがね、これでも音大に通っていたこともあるんですよ。
そういうお嬢さんこそバイオリンが好きなんでしょう?」
「はい、大好きです! 大切な楽器を売ってくれてありがとうございます」
「たく
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ