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BloodTeaHOUSE
アマーティ
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ント!?」

私の目がパッと輝く。たとえ買えなくても、いい楽器に触れるのはすごく魅力的だ。
うわぁ〜明日は絶対楽器屋さんに行こう♪

「新しい楽器が決まるまでこの店で弾くならこれを使うかい?」

飛白の提案に全力でお断りする。

「ダメダメダメダメ!!傷とかつけちゃったら怖いし!」

体の前で手をパタパタさせて、とにかくノーだと断る。

「でもすぐに気に入るものが見つからないかも知れないだろう?」

借りるくらいだったらちょっとくらい無理してでも、さっさと買ったほうがマシだよ!
だって、バイオリンは同じ音色のものがない。工場で量産してるものでも同じじゃない。

ちゃんとした職人さんが作ったものならなおさらで、
しかも、どういう弾き手が使っていたかでも音が変わるすごく繊細な楽器なのに。
プラスチックのリコーダーとはわけが違うのだ!

「変な癖とかつけちゃったら嫌だしダメ!絶対すぐに見つけるから!!」

新しいの買ったら一番に見せる約束でなんとか押し切って、
バイオリンレンタルを固辞した。幸いなこと(・・・というには微妙だけど)に
私には両親の遺産があるから、そこそこ自由になるお金がある。
もちろん世界の名器なんてのは買えないけど、それなりのものぐらいなら大丈夫。

問題はいいご縁があるかどうか。
バイオリンは、出来のいい新品よりも大切に使われた中古品の方が安定した音を出すし、
機嫌も損ねにくい。けど、こればかりは縁とか運なんだよねー。

「どうぞ、桃のムースと紅茶だよ」

淡いクリーム色のムースには、赤いソースが掛かっていてとっても綺麗で、
ちょこんと乗った小さな葉っぱも可愛い。紅茶もいい香り。
スプーンですくって一口、桃の優しい味と甘酸っぱいソースがとっってもおいしい!

「君のその顔が、どんな褒め言葉よりも、ご褒美だね」

おいしさにふるふるしてると、そう言ってくれる。

「だって、ホントにすっごくおいしいんだもん♪」
「すっかり飛白に餌付けされてんのな、お前」

裏子がジト目でわたしを見る。すごく不満そうだ。あー・・・そうだよね。
だってまだ裏子に注文したことないし・・・でも、まだ死にたくないんだよ。

「餌付けって……彼女に失礼じゃないか、裏子ちゃん」
「だったら、アタシの料理を食え!」
「えっ!」

蘇る初日の悪夢に体を引くけど、断る前にドンッと料理を置かれてしまった。
ぅわぁ〜………なんだろうこれ?赤紫?ドドメ色?黒?ところどころ暗緑色?
ぐちゃっとしてるっていうか、べちゃっとしてるというか、なんと表現していいのか
わからないけど、画面にモザイクをかけなくちゃいけないような見た目だ。

「……………………」

無言で裏子の料理を見
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