三話:お嬢様と日常
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のか」
「そんな怒らんといて。どうしても食べとうなったんよ」
「分かった。取り敢えず、ヴィクターの家には行ってやるがその代わりヴィクターに言いつける」
「うぅ……今から気が重い」
ここはジークの保護者じきじきに叱ってもらおう。
ヴィクター相手ならジークも頭が上がらないからな。
しかし、ヴィクターの方もよくこんな娘を欲しがるな。あれか?
バカな子ほど可愛いというやつだろうか。まあ、何はともあれ行くとするか。
「まったく、ジーク。盗み食いなんてはしたない真似を教えたつもりはありませんわ」
「ごべんなしゃい」
案の定ヴィクターに叱られてべそをかきながら謝るジークを見ながら俺はエドガーに出してもらったチョコレートアイスを食べる。
いやー、流石に美味い。やっぱり、金持ちが普段食っているもんは美味いな。
まあ、毎日だと飽きるだろうけど。俺は庶民派なんです。
「リヒターも毎回家の子が迷惑をかけてごめんなさい」
「ナチュラルに家の子って言いきったぞ、こいつ」
ジークの親御さんに謝ってこい。俺も文句言いに着いていくから。
「いいですか、リヒター。手のかかる子供を見たら世話をしたくなるのが母性本能というものです」
「私はヴィクターと一つしか違わんのやけど……」
「誇り高き雷帝の血を引く、このわたくしヴィクトーリア・ダールグリュンが。か弱い子を見捨てるなど言語道断ですわ!」
「もうええもん……どうせ、私なんて……」
ジークのツッコミを完全にスルーして何故か格好良く言いきるヴィクター。
やけに様になっているところがなんかムカつく。
ジークがウジウジとして床に絵を描いているがそれに関しては自業自得だ。
普段の行いを偶には振り返れ。
「ああ、ジークがまた拗ねて! もう、これだからやめられないんですわ!」
拗ねているジークの頭をよしよしと撫でて満面の笑みを浮かべるヴィクター。
ジークをその状態に追い込んだ奴が慰めている光景は中々にシュールだ。
「元凶が慰めても意味ないだろ。なあ、エドガーお前も何か言ってやれ」
「お嬢様は保護者状態になられましたらしばらく戻られませんので無駄ですよ」
「……お前も苦労しているんだな」
「執事ですので」
若干遠い眼をしながら無駄と言い切るエドガーが余りにも不憫だったので労うが寂しげな笑顔と共に執事ですからと返されてしまう。
ヴィクターも普段はまともな奴なのにジークが絡むとおかしくなるからこいつも大変だろう。
今度、男だけでどこかに遊びに誘ってやろうと心に決め俺は二本目のチョコレートアイスを頬張るのだった。
「ところでリヒター。ジークはきちんとご飯を食べていますか?」
「
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