一話:こんな日常
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て犬に餌をやって懐かれた気分だ。
「ふぅ……取りあえず一回落ちてから上がれ。もう、疲れた」
「いや、リヒターがやってきた……って、結局落ちんといけんの!」
「玄関から上がるのが常識だろ」
「悔しいけど、その通りよね」
その後なんだかんだあって結局ジークはベランダから家に入って来たのだった。
「はぁ……お腹いっぱいや」
「人の家とは思えん食いっぷりだな。お前は雑草でも食ってろ」
「それは昨日食べたんよ」
「……………」
「ちょ、そんな引かんといて、傷つくから」
どんだけサバイバルじみた生活を送っているんだ、こいつは?
今度からはおにぎりの具に雑草を入れてもばれないかもしれない。
というか、普通に上手そうに食べそうだ。
「お金ないとそういう物しか食べれん時があるんよ」
「それで俺の所にたかりに来るわけか。ヴィクターのとこに行け。あっちの方が、金があるんだ」
「う、私はリヒターの手料理が食べたかったんよ」
「俺の弁当のおかずになる予定だった冷凍シューマイを食い尽しておいてよく言う」
「そ、それもリヒターの料理みたいなものやん」
何やら目を右往左往させながら答えるジークにデコピンの連打を食らわす。
冷凍シューマイ楽しみにしていたんだぞ。食い物の恨みを思い知れ。
しばらくデコピンを続けていると最初は痛そうにしていたジークが笑い始めた。
「何、こいつ変態?」
「ちゃうって! ただ、なんかこういうのもええなって……」
「やっぱり、変態じゃないか」
叩かれるのがいいなんてドMの変態以外に何と言うんだ。
思わず後退ってジークから距離を取ってしまう。
変態とはどうか知り合い程度の付き合いに止めておきたい。
「だから、ちゃうって! なんか仲のええ、カ、カップルみたいやなーって……」
何やら顔を赤らめてクネクネと動きだすジークに白い目を送ってみるがまるで気にする様子がない。
さて……いつの間に俺はフラグを立ててしまったのか。俺は別に一級建築士の資格を持っているわけではないんだけどな。
というかこんなやつの紐になってやるつもりはない。
働かざる者食うべからず。これ鉄則。
「とにかく、飯食べたから俺はそろそろ学校に行かせてもらうからな」
「あ、なら私が皿を洗っとこうか?」
「やめろ! お前に任せたら家が次元振の後みたいなありさまになる!」
「そんなことあらへんよ!」
俺の言葉に憤慨して頬を膨らませながら否定するジーク。
ふむ、なら思い出して貰おうじゃないか。
これまでジークの腕で粉砕してきた我が家の家具の数々を。
「一週間前は皿を十枚。二週間前はお気に入りのカップを。一ケ月前に至っては机
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