ハイスクールV×D ライド33
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ジを与える寸前まで行ったのだから、その二本を一人が手にすればどうなるか……堕天使が最強だと証明するには二つの伝説の剣を持った剣士を倒す。そう考えるだけでコカビエルは笑みを浮かべずにはいられなくなる。
魔王の妹2人の首を悪魔側へ送りつけ、砕けたエクスカリバーを天使側に送りつければ十分に宣戦布告になる。そして、二本の伝説の剣を持って自らの手で天使と悪魔を滅ぼし堕天使の最強を証明する。
手の中に光の槍を作り出すと四季へと視線を向ける。敗北して貰えば面白くなるであろう彼に視線を向け、彼の後ろに立つ詩乃へと狙いを定める。
一瞬、コカビエルの姿が視界の中に入った瞬間、奴の手の中に光の槍が現れるのを見た。
(……まさか!?)
イメージするのは奴の位置とその射線軸……自分も含まれているだろうが、寧ろ奴の狙いは……
「詩乃!!!」
自分の後ろに居る詩乃だ。抑えている超兵装ブラスター・ブレードの力を解放、振り下ろされそうになった木場の超兵装ブラスター・ダークを弾き、腹へと蹴りを打ち込み突き飛ばす。
「間に合え!」
「……四、季……」
四季が瞬動でコカビエルから放たれた光の槍に狙われた彼女を突き飛ばす。彼女はコカビエルの槍から逃れられた。だが、
「がはっ!」
深々とコカビエルの放った光の槍は四季の心臓を貫き、光の槍が消えた瞬間、彼の胸から鮮血が舞う。かつてレイナーレと言う堕天使に刺された一誠の時と同じく、誰がどう見てもそれは致命傷となる傷だ。
「嘘でしょ……なんで、四季……」
「詩乃が、無事でよかった……」
「嘘よ、死なないでよ……四季……ッ!」
崩れ落ちる四季の体を支えながら詩乃はそう叫ぶ。全身の力が抜ける。既に悼みは無いが……彼女のぬくもりさえも感じることが出来ない。
(……ごめん、泣いてる君を慰める事もできなくて……)
「いつも私との約束……守ってくれたじゃない……! 夏休みに一緒に旅行に行こうって、戦うのを忘れて二人で楽しい思い出を作ろうって言ってくれたじゃない!?」
(……ごめん、はじめて約束を破る事になって)
抱きしめる事も、初めて恋人になったとき以来恥ずかしがってしていなかったキスをする事も出来ない、死を前にしてそんな事を後悔しながらも思い浮かべるのは彼女との思い出だけ。
(……詩乃に出会えて良かった……)
全身から力が抜ける。……声を出す力も無い。だけど、最後にこれを伝えたい。
「詩……乃……」
「四季!?」
最後の力を振り絞って声を出す。彼女へと残す最後の言葉、
「……良かった……君に……会えて……」
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