第20話
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もとれる行動にオロオロする黄蓋、頭を抱える周瑜、殺気を放ち始める風など、混沌とした光景だったが意外にも袁紹は落ち着いていた。
そんな反応の薄い彼を怪訝に思っていると――
「フム、悪くない」
「えっ!?」
いつの間にか腕から抜け出した袁紹は孫策を右手で抱きしめ、左手で彼女の顎を持ち顔を自分に向けさせた。
え、まさか本当に?――ほぼからかい目的だった行為でこのような事態になるとは思っておらず。
近づいてくる袁紹の顔を惚けながら見ていると――彼は柔らかい笑みを浮かべ孫策を解放した。
「経験豊富を装っているが――生娘だな? 己を大事にせよ」
「うっ」
解放した後の彼の言葉に羞恥心から顔を赤らめる。袁紹の言葉通り孫策には男との経験が無い。
彼女には戦場で戦った後、身体が昂るという悪癖が存在していたが、そんな彼女を静めるのは周瑜の役目だ。
それも半ば強引にである。そんな自分がここまで攻められるとは思わず。顔に出てしまった。
(く、悔しい〜〜! 覚えてなさいよ、いつかアッと言わせてやるんだから!!)
孫呉独立の他に、袁紹を手玉に取る――が目標に追加された瞬間だった。
………
……
…
日が沈んだ頃、広宗内部に潜入していた甘寧は、人気の無い場所で壁に寄りかかり相方を待っていた。
「お待たせしました思春さん」
「来たか明命、……文を持っていると言うことは何か知らせが?」
潜伏している自分達は陣営と矢文による情報交換を行っていた。正規の軍に潜入していたのであればまず不可能だが、元々は農民の集まりである黄巾達の目を欺くのは容易い。
文に目を通した甘寧は目尻にしわを寄せる。あの『袁家』が参戦してきたこと、彼等の要求により門を開く刻限が漏洩したことが記されていた。
「……厄介な」
主達の期待を背負っている自分達は、是が非でも張角の首を獲り孫家の名を轟かせたい。
諸侯の中で好敵手は曹操軍だけと睨んでいた彼女達にとって、この知らせは目を覆いたくなるものだった。
「作戦は……変更ですか?」
「……いや当初の予定通り行く」
元より、そうしなければ我が陣営が袁家に何をされるかわからない。
「奴等がどう出ようと私達の足には適わぬ、地の利もあるしな」
「そうですね!」
甘寧の口角が上がる。油断している訳ではないが、自分達は圧倒的に有利な立場にあった。
数日に及ぶ情報収集により張角の居場所は掴んでいる。開いた門から黄巾を相手にしながら張角を目指す他の諸侯とは違い。自分達二人は裏道から黄巾賊を避け、把握した街の構造を元に最短距離で駆け抜けられる。後は警備が手薄になった張角を狩るだけだ――
………
……
…
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