第20話
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ら最悪の事態『潜入の露見』を想定し、まず確証が無いとしても万が一を考え暴露してしまった。
言わされたのではない。言ってしまったのだ。例えそうなるように誘導されたとしても――
それを成したのは目の前の小娘、――名を程c。取るに足らない相手だと甘く見ていた。
孫策の末妹とそう変わらぬ年齢、頭上の人形が喋っていると見立てる子供らしさ、今考えてみると全てが油断させるために用意されたのではないかと勘ぐりたくなる。
周瑜が目の前の程cに畏怖していた頃、風もまた冷や汗を流していた。
(奥の手を使わざるを得ませんでしたか、流石です〜)
袁家の財が潤沢だからといって、無尽蔵にあるわけではない。袁紹が目指す世の為にもなるべく支出を抑えたかったが――、周瑜がそうはさせなかった。少ないやり取りだったが躊躇していたら逃げられていたかもしれない。
他の者であれば、例えば孫策と直接交渉していたらどうか? もっとうまく事が運んだであろう。
周瑜とは別の手段で言質をとり、城門を開ける刻限だけが条件として、財に頼らずとも『頼み』を確約出来た筈だ。
しかし周瑜は手強かった。風が袁紹に用意させた包囲網を掻い潜り、どこまでも拒否に持って行こうとしてみせた。最後に用意してあった目録、財力は奥の手であった。
もし逆の立場であったらどうだっただろうか?――不毛な考えかもしれないが予想せずにはいられない。此方の術中に掛かりながらも、勢力を背景にした圧力に屈する事無く逃げ道を模索し続けた周瑜。
彼女が自分の立場だったら、財力に頼らずとも要求を通しただろう。風はそう彼女を評価した。
「……孫策様」
「袁紹様の『頼み』お受けいたします」
「おおっ! そう言ってくれるか! ならばその目録にある金品お主等の物だ。後で届けさせよう」
「――ありがたく」
(冥琳……)
恭しく頭を下げる親友の姿に孫策は胸を痛める。先ほどのやり取りがどのような物か理解できなかったが、断るはずの要求を受け、袁紹と程cに大敗を喫したのは勘で感じていた。
やられっぱなしは面白くない――やられたらやり返すのが信条である彼女は、すでに意趣返しを模索していた。
とはいえ相手は強大な勢力を誇る袁家の当主、敵に回すわけにはいかない。
敵に回す事無く、尚且つ相手をうろたえさせる様な何か、悪巧みを思いついた彼女は口を開いた。
「これほどの物資をポンとくれるなんて私、袁紹様に惚れちゃったかも♪」
「なっ!? 雪蓮!!」
「策殿!?」
素早い動きで袁紹に近づき右腕に抱きつくようにして絡みつく、自然と彼の腕は胸に埋もれた。
「袁紹様はまだ正妻がいないでしょ? 私なんてどう? 結構自信あるんだけど〜」
無礼と
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