第20話
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要求次第で用意していた言葉を話せば良い。多少違うことでも臨機応変に対処してみせる。
そして袁紹が口を開いたが――彼の要求は想定外の物だった。
「広宗の門が開く正確な時を教えて欲しい」
「――門を?」
その言葉に孫策と黄蓋の二人は、大きな疑問符を浮かべるようにして首を傾げた。
袁紹の要求が想定していた物と違うという理由もあったし。何より未だ城壁で熾烈な戦いが起きている中、門が開く刻限など知る由も無かったが―――
「開けるのであろう?『お主等』が」
「――っ!?」
続いて発せられた言葉に周瑜は目を見開いた。
諸侯を出し抜き張角を保護するのは至難の業である。偽の手配書が流布してはいるが、先に彼女等を確保されては露見するのも時間の問題だった。
ならばどう動けば良いか――意見を求められた風は、何処よりも先に門をくぐるのが一番手っ取り早いと答えた。
「孫呉陣営に門を開かせる?」
「はい」
袁家に仕官した彼女は、周辺諸侯の動向や内情に目を光らせてきた。その中には当然孫呉の情報もあり、風が今回注目したのは甘寧と周泰という二人の武将だ。彼女達は隠密に特化した武将らしく、間違いなく広宗内部に潜入させていると踏んでいた。
「潜入しているのなら、そのまま張角の首を狙うのではないか?」
「それは難しいですね〜」
仮にも総大将の張角、その周りは護衛の者で固められているはずだ。もし運よく討てたとしても首を持ち帰らなければ手柄にならない。
大将を討たれ頭に血が上った黄巾賊から、首を抱えながら広宗を脱出するのは至難の業である。
「もっと確実な手段にでるはずです」
「それで城門か」
何らかの手法で城門を開いてしまえば、たちまち黄巾と官軍の前面衝突になる。
彼等が争っているうちに張角の首を取り、混戦に紛れて脱出する――単純だが一か八かの手法より有効な手段だった。
「そこで私達は城門が開くと同時に中に進撃、恋さんに派手に暴れてもらい。星さんに張角を目指してもらいます――問題は」
「城門がいつ開くか……だな」
城門が開くと同時に張角を目指せば、孫呉の隠密二人とも距離が開かない。偽の手配書の効果で手を止めさせる事が出来れば十分勝算があった。
「孫呉の頭脳として動いている周瑜さんなら、さらに成功率を上げるべく、自分達が攻め入れられるよう城門が開く時を決めているはずです」
「しかし、手柄を横取りされると思うのでは?」
「十中八九そう考えるでしょうね〜。だからお兄さんは潜入させているのを知っている『ふり』だけすればいいです」
「……? それだけか?」
「はい、後は彼女が才女であればあるほど――」
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