ウダイオス
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金眼がこちらを真っ正面から見た。
オラリオ最強の一角で、その容姿でも名高い剣士、【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタイン
その戦闘のようすから【戦姫】とも呼ばれているほどの戦闘狂とも聞いている。
何が彼女をそうさせるのかは俺には分からないし、分かる必要性も感じないし、興味もない。
が、それとこれとは話は別だ。
「断る。俺は勝手にやらせてもらう」
まだ目的のモンスターは姿を現していない。他人の獲物を横取りするのはマナー違反だが、まだ目的のモンスターは姿を現していないのだ。問題はない
それだけ言い残した俺はクルリと身を翻しその場を離れる。
ことの様子を見守っていたリリアさんとハーチェスさんに呆れるような目で見られた。
ちなみに、エイモンドさんは戦車の御者台で光っていた。
……多分言っても無駄だ。諦めよう
「ほんと、式には困ったものだよ。あれじゃ、喧嘩売ってるのとかわりないじゃないか」
「ですわね。【ロキ・ファミリア】の、しかも【剣姫】相手によくやるわ」
「まぁ、あれこれいっても仕方ないんで。それより、二人とも。戦車のとこまで下がっていてください。……来ました」
ダンジョンの地面が揺れ始める。
肩に掛けた袋から【物干し竿】を取りだし、抜刀。
袋の中には【破魔の紅薔薇】に【必滅の黄薔薇】、それに【アレルヤ】の三本の槍が収められている。
俺はそれをハーチェスさんに渡して一歩前へ。
【剣姫】もサーベルを抜き、ルームの中心を見据えていた。
直後
大地が割れた
視線の先、ルームの中心点が盛り上がる。
大量の土塊を押しのけ、とてつもなく巨大な図体が地面から顔を出す。
ビキッビキッと鳴り響く、地面に亀裂の走る嫌な音。
巻き上げられた土砂はそれの体に持ち上げられ、轟音をたて滝のように床へ叩きつけられていく。
頭蓋、鎖骨、肋骨、骨盤。むき出しになった黒色の骨格が地面から生えて全貌をあらわにしていく。
『ーーオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!』
そして咆哮。
十Mを越えるかと思われる巨大なモンスターが天に向かって吠えたのだ。
全身を黒く染めた骸骨の巨身。下半身を地面に埋め、スパルトイをそのまま大きくしたようなモンスターの頭には二本の突起が生えていた。
真っ黒な眼窩の奥では、火の粉のような小さな朱色の光が揺らめいている。
そして胸部内部。肋骨と胸骨に守られるように、巨大な魔石が中空に浮いていた。
『ウダイオス』
三十七階層の階層主である。
本来なら、大人数の冒険者が徒党を組み、連携して攻略に乗り出す存在だ。
それを二人……いや、もともとは両者とも一人で相手にするつもりだったのだ。正
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