暁 〜小説投稿サイト〜
僕のサーヴァントは魔力が「EX」です。
一回戦決着
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が今のレーベンの状態ということだろう。

「あああっ!? 私が消える、消えてしまう! これか死? あの時私が殺してしまった友人はこんな気持ちで死んでいってしまったのか……!?」

 全身を蝕んでいく黒いノイズを見ながらレーベンが絶望した表情で言い、次の瞬間に空を見上げてここにはいない「誰か」に向けて悲痛な叫びを上げる。

「嫌だ! 私はまだ死にたくない! 私はもう一度貴女に会いたいんだ! その為に私は彼を、友人もこの手にかけたというのに! 助けて! 助けてくれ! それが無理ならばせめて、もう一度貴女の姿を見せてくれ! お願いだキアr……」

 空を見上げながら狂ったように叫ぶレーベンは、最後に誰かの名前を呼ぼうとして影も残さずに消滅していった。……これが聖杯戦争の敗者の末路か。

「レーベン……。どうやら逝ってしまったようですね……」

 マスターであるレーベンが消えてしまった後で、今まで一言話さなかったランサーが初めて口を開いた。

「一人の女性に引かれて、その女性の為に殉ずることを誓った貴方がどの様な道を歩んでいくのか興味があったのですが……残念です」

 ランサーもまた全身を黒いノイズに蝕まれていて、彼女は先に消えてしまったレーベンに向けてそう言うと、自分もまた消滅していった。

「「はぁ……」」

 光の壁の向こう側でレーベンとランサーが消滅していったのを見て、僕とアヴェンジャーは同時にため息をついてその場にへたりこんだ。この時僕の胸にあったのは、勝利の高揚感でも人を殺した罪悪感でもなく、何とか生き残れたという安堵感だけだった。

 序盤から手札をすべてさらけ出して、それでようやく相手を倒せた、全く余裕のないギリギリの勝利。

 それでも勝ちは勝ちだ。

 こうして僕とアヴェンジャーは月の聖杯戦争最初の戦い、一回戦を生き残った。
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