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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
51.獰猛なる化物
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……お、前は……さっき死んだはずだ!」
赤髪の吸血鬼の驚愕など知らぬように彼は近未来形状の銀刀をやや後ろに構える。
「今度はこっちから行くぞ」
冷たい声とともに少年は地面を蹴り上げて前へと疾駆する。
「獅子の御門たる高神の剣帝が崇め奉る──」
夢幻龍が真の力を発揮するための祝詞だ。なぜそんなものをこの少年が知っているのだろうか。
「虚栄の魔刀、夢幻の真龍、全てを見透かし、秩序を守護する神の逆鱗に触れし者たちよ、自らの愚かさを後悔し、裁きを受けよ!」
いや、こんな祝詞を友妃は知らない。
すると銀の刀に導かれたかのように一瞬で闇夜に同化する漆黒の雷雲が現れていた。
そこからはいつ雷が落ちてもおかしくないほどに不気味な雰囲気が漂っている。
「と、止めろ、“
剛硬なる闘牛
(
ヘパイストス・バイソン
)
”!」
少年を止めようと赤髪の吸血鬼が叫ぶ。今度は空気中に鉄の塊が出現する。それは形を変えて三メートルは軽く超えるであろう大剣へと変化する。
まるで錬金術でも見ているようだ。
ノーモーションで振り下ろされる巨剣を回避することはできない。かといって弾きかえすことも今の友妃にはできない。
すると振り下ろされる大剣めがけて暗雲から一筋の光が降り注いだ。その寸瞬遅れて、大気を劈く爆音が響き渡る。
あまりの大きさに耳を塞ぎこむ。考えるまでもなくそれが雷だということが理解できた。
しかし、これほど近距離で落ちたところを見るのは初めてだ。まるで振り下ろされる大剣を邪魔するようにだ。
雷が直撃した大剣はボロボロと崩れていき、元の鉄の塊へと戻っていく。
さらに追い討ちでもするかのように無数の光が鉄の塊へと降り注ぐ。
もはや原型を留められないほどに砕かれた鉄の塊。
これが先ほどの祝詞による力なのだろうか。そうだとするならば友妃が今までの使ってきた祝詞による魔力とは全くというほど異質なものだ。
驚愕で動けずにいる赤髪の吸血鬼。落下してくる鉄の塊を回避しながら速度を一切落とすことなく突き進む少年の姿を捉えた。しかし、その時には赤髪の体は彼の刃のテリトリーの中へと入っていた。
そして斜め下から一気に振り上げられた。
「ぐぅ……は───ッ!?」
鮮血が大気中へと飛び散った。
倒れそうになるがギリギリで持ちこたえる。しかし、それがわかっていたかのように彼は再び銀色の煌めきを描いた。左肩から侵入し、まるで手応えすらないようにスッと右の脇腹の抜けていった。
声すらあげることなく赤髪の吸血鬼は地面に崩れ落ちた。
「……落ちたか」
黒髪の少年は小さく呟いて冷たい目で倒れる吸血鬼を見下ろす。その姿を友妃はただの呆然と見ることしかできなかった。
「少しは骨のあ
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