暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
51.獰猛なる化物
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 なにが起きたのだろう、と考えようとすると目の前に先ほどの黒髪の少女がいた。
 彩斗に覆いかぶさるようにしている。
 一体彼女はなにをしているんだ?
 すると彼女のすぐ真上を赤い何かが横切っていく。

「うぐぅ…………ッ!?」

 なにが起きたのだろう……?
 なぜこんなに少女は苦しんでいるのだろう……?
 理由がわからない。

「だ……だい、じょう……ぶ……」

 消え入りそうなほどか細い声が彩斗の消えかけていた意識を覚醒させる。

「な、なんで……」

 少女は彩斗を庇うために自ら攻撃を受けたのだ。彼女一人なら攻撃を回避することができたかもしれないのに。
 それでも少女は彩斗を守ってくれた。

「これ、で……おあいこ、だね」

 無理に繕った笑顔をこちらに向ける。

「おあいこ……?」

 まさかあの時のことを言っているのか。彩斗が爆炎から少女を助けたことを言っているのか。
 少女はそのまま彩斗の上に倒れてくる。
 大丈夫か、と言おうとした彩斗の目に映ったのは背中の酷い火傷だった。
 肌は黒く焦げ、至る所から血が吹き出している。

「お、俺の……俺のせいで……」

 一瞬でも勝てると思ったせいで、逃げなかったせいで、この子は……
 …………ふざけるな。
 なんで関係のないこの少女が俺の代わりに傷かなければならない!
 込み上げてくる怒りは抑えることができなほどに膨れ上がっていく。
 こいつのせいで……こんな奴らがいるから……

 ───こいつを殺さないと

『人は誰しも心の獣を飼っている』
 自分ではなく、しかし自分の一部である獰猛な獣を。
 その中にはごく稀に存在してしまう。
 獣ではなく……化け物を飼っている者が……
 一度鎖から解き放たれた獣は、すぐには治らない。ならばそれが化け物ならどうだ?
 その答えは全てを壊し尽くすまでそいつが止まることは一切ない。

 縛り付けられていた獰猛な化け物は音もなく、感覚もなく鎖を解き放った。




 激しい火傷が痛覚を刺激していたのは一瞬だった。もはや痛みと呼べる物は感じることはない。
 ただ背中が熱いというような感覚だけが残っている。
 逢崎友妃が庇った少年が今にも泣きそうな目でこちらを見ている。
 なんで泣きそうなの、と言おうとした。しかし掠れた音が出るだけで言葉は届かない。
 たかが一撃受けただけでこれだけの傷になってしまう。やはり人間と眷獣の間には大きな差があったのだ。
 わかっていたことではあった。最初に言われたことだった。
『天地がひっくり返ろうがあんたたちじゃ勝てるような相手じゃないからね』
 その通りだ。対抗する手段があっても勝つことができるというわけではない。友妃にで
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