暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
51.獰猛なる化物
[3/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
わかるのだ。
 彩斗の体は重力によって従って放物線に沿って落下していく。跳躍とともに肩に担ぎ上げた銀色の刀を赤髪の体が刀身の範囲内に入った瞬間に全力を込めて振り下ろした。
 寸前に赤髪は後ろへと飛び退いた。しかし、銀の刀の刃先が確実に胸から腹部へとかけて鮮血の一線を描いた。

「うがぁ───ッ!?」

 声にならない悲鳴をあげながら赤髪がその場に倒れこんだ。相手は吸血鬼なのだ。少しくらいのダメージで死んでしまうことはない。

「この……やろ、う」

 かすれかすれの声の赤髪が立ち上がる。そこまで深く抉られたわけではない。しかし確実に赤髪の傷を負わせた。

「だけど残念だったな……テメェの負けだよ」

 不敵な笑みを浮かべて赤髪はそう口にした。その瞬間だった。爆炎がこちらへと向けて襲いかかってくる。
 回避できるような大きさではない。
 どうする?
 銀の刀で止められるのか?
 明らかに今までのものとは質量も威力も桁外れに違う。
 そうか。これは眷獣による攻撃だ。結局、召喚を防ぐことができなかったということだ。
 そんなことを考えている間にも爆炎はこちらへと迫ってくる。
 一か八かにかけて彩斗は銀の刀に意識を集中して爆炎へと立ち向かう。
 止められるのはずがない。だが、それでも出来ることはやってみる。思考するだけでは何も始まらない。後悔するなら行動に移してからだ。
 死も覚悟しながら爆炎を睨みつけた。
 すると聞き覚えのある響きを耳が捉えた。

「獅子の御門たる高神の剣帝が崇め奉る──!」

 祝詞だ。荒々しく紡がれていく声とともに人影が彩斗の前へと飛び出た。
 長く綺麗な黒髪、幼顔の少女が近未来形状の銀の刀を突き出しながら祝詞を紡いでく。その声に呼応するように銀の刀の輝きが増していく。

「虚栄の魔刀、夢幻の真龍、神域の翼膜をもちて闇夜を穿つ力とならん──!」

 神々しい輝きを放つ黄金の翼が銀の刀から展開される。その翼はどこかで見たことがあった気がした。
 黄金の翼が爆炎と激突した瞬間にまるで何もなかったと言わんばかりに跡形もなく爆炎は消滅した。
 その光景に呆気にとられている彩斗に黒髪の少女が振り返る。そして第一声目が、

「何考えてるの!? あなたはバカなの!?」

 言い返そうとするが少女のあまりの怒りように少し後ずさる。

「眷獣の攻撃が“六式降魔剣・試(ローゼンカヴァリエ・プロト)”で止められると思ってたの! そんなの無理に決まってるよ!」

 またよくわからない名前が出てきたが、どうやら彩斗が持っている武器のことを言っているのだろう。しかし、現にさっきはこの刀で止めることはできた。
 いや、あれは海原曰く“神意の暁(オリスブラッド)”のうちの誰か
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ