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猫の憂鬱
―其の後―
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開き、確認しながら、秀一の椅子を蹴った。
「アホか、間違ってますよ。」
「え?何がですか?俺に間違い等無いですが。」
「漢字。」
秀一は云う、漢字が間違っていても其れで読めるなら。
其れに宗一は龍太郎を見た。
「如何思う、本郷さん。此のあっぱらぱあ。」
帰る為テーブルをティッシュで拭いていた龍太郎は、じっと秀一を見、鼻で笑った。
「お?なんで今鼻で笑ったんだ?」
「漢字間違えは、意味違い。本郷さんは其れゆうてはるの。バッカねぇ、貴方。履くと吐く、全然違うやないの。靴吐いたら一大事やないか。」
「常識で考えて、靴吐く人なんている訳ないじゃないですか。」
「おー、ゆうたな?全世界の奇術師に謝れ。」
「そうや、謝れ、自分の物差しでモノゆうな、博士。博士の常識は非常識や。」
横の席を構える八雲が、パソコン画面に向いた儘口を挟んだ。ヘッドホンを掛ける侑徒は、さも迷惑そうな顔で二人を振り返った。
「斎藤は関係無いだろう、口挟むなよ。なんだよ、非常識って!」
「非常識!非常識な存在!存在自体が大問題や。」
「セグウェイで轢いてやろうか、丸眼鏡。」
「嗚呼?轢けるモンなら轢いてみぃ、黒縁眼鏡。ジープで轢き返したるからな。」
二人のやり取りを聞きながらラボのドアーに手を掛けた。
「気ぃ付けてな、本郷さん。」
喧嘩を始めた二人を止める事せず、宗一は手を振った。其の隙間から、二人から避難するようにノートパソコンを抱えた侑徒が抜け、廊下に座り込んだ。廊下にパソコンを置き、正座の上体を屈した格好で仕事を続ける。其の横に、八雲の愛猫が腰を下ろした。お邪魔しました、と云っても返事は無かった。
ポーン。
廊下にエレベーターの到着音が響いた。スーと開いたドアーを見詰めた龍太郎は、中に居た人物に眉を上げた。
「迎え来たぜぇ、龍太郎様。」
「迎えに来たんじゃなくて、サボりに来たんだろうが。」
「やっだ心外。お兄ちゃん迎えに来ただけなのにぃ。」
足を向けた井上は、科捜研のラボ横にある段ボールが積み重なる部屋を見た。
「前、此処、科捜研の何かじゃなかった?」
意識して其の部屋を見た事は無いが、段ボールが積み上げられる程の倉庫では無かった。其処は空室で、科捜研メンバーの仮眠室だと宗一から聞いた。其処に段ボールが積み上げられ、明らかに改装していた。
「先生、此処、何かあんの?」
「ん?」
井上の問い掛けに宗一は、何も無いけど、と取り合わなかった。
「もぉ、課長から連絡来たやんか、早よ帰ってぇ。」
「早ぇよ、課長。」
一時間位、龍太郎の言葉通りサボる気だった井上は、じゃんじゃん鳴る宗一の電話に顔を顰めた。嫌々する井上を引っ張る龍太郎に手を振り、其の儘無言でパチパチとキーボードを打つ侑徒に息を吐いた。
「仰らなかったんですか。」
画面を
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