第一章 僕と進級と試召戦争
第一話
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っている気がするんだが…どうやら彼女には理解してもらえなかったようだ。
荻原さんはまだしも、真一はここに居るべきではないように思う。
Aまではわからないが、少なくともCクラス程にいるだろうと踏んでいたのだが…
「テストより人助けを優先しただけだ。」
そういって目を伏せる真一。うーん格好良い…何故ここまで男らしいのか。
「すまない、少しどいてくれ。」
この声は…先程も会った西村先生か。一昨年の先輩方が酷かったせいで、2-Fの担任は西村先生で固定らしい。
「それと、すぐ席につくように。今からHRだ。」
「分かりました。」
「はいはいっと…」
「はーいっ!」
僕たちはそれぞれ返事をし、席のような何かに付く。
…いやこれ席とは呼べないだろう…今にも足の折れそうな卓袱台に、綿のない座布団。座り心地や勉強の環境においても酷すぎる。
「俺がFクラス担任、西村宗一だ。設備に不備があれば申し出るように。」
「先生、座布団に綿がないのと、窓が割れてて寒いです。」
誰かがそんな声を上げる。僕も同じ意見だ。
「我慢するように。」
まさかの西村先生の一言。
これで我慢しろ!?あまりに酷いんじゃないか!?
…Aクラスの設備を見た後だからだろうか。より格差社会について深く考えさせられる…
「それでは自己紹介を始める。廊下側から頼むぞ。」
「はーいっ!荻原千春です!趣味は特撮鑑賞!気軽に『ハニー』って呼んでくださいね♪」
「「「ハニィィィィィィッ!!!!」」」
男子生徒たちのシャウトが教室に響く。ひどく気分を害された…吐き気を我慢しつつ、なんとか荻原さんを見る。
「…ごめんなさい、忘れて下さい。とにかく宜しくお願いします!」
引きつった顔で自己紹介を終わらせた荻原さん。
完全に自業自得と言うべきだろう。
そして次の生徒が自己紹介を始める。
「あたしは瀬田七海。今夜のオ…ぶべらっ!」
真一が卓袱台を投擲して、なんとか言葉をキャンセル。
危ない。あれ以上喋らせると湯水のように下ネタが湧き続けるぞ…
セミロングの髪に、口に覗く八重歯。彼女の名前は瀬田七海。友人と呼ぶのは少しばかり厳しいところだ。
瀬田さんの番が終わったと思われたのか、次は僕にみんなの視線が集まる。
「久保良光です。よろしく。」
端的に自己紹介をすませ、即座に座る。あまり喋りすぎると、誰がさんのようにとてつもない地雷を踏んでしまいそうだ。
皆同じように考えたのか、端的に名前だけ告げるだけの行為がしばらく続く。いい加減眠くなった頃、急に扉が開く。
「はぁっ…はぁっ…遅れてすみません…」
短めの髪に、すらりとした手足。
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