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【銀桜】7.陰陽師篇
第8話「ソンナ強ク美シイモノニ私ハナリタイ」
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野アナたちを見て思う。
 高杉と兄と肩を並べて歩いている時代(とき)があった。
 だが今はもうそれぞれの道に突き進んでいる。
 高杉は破壊の道に。兄は護る道に。
 決して交わることのない道を歩んでいても、また肩を並べて笑える日は来るだろうか。
 そう、今の晴明と道満と結野アナのように。
 結野衆と巳厘野衆は一千年も争っていた宿敵同士。
 けれど『江戸を護りたい』、その想いは同じだった。

【ワイ思うんよ】
【歩む道はちゃうても目指す場所は同じやて】
【目指す場所が同じやったらいくらでも仲直りできまっせ】

――なぁ岩田。本当にそうなのか。
――結野達(あいつら)のように私たちもまた同じ道を歩めるのか。
――……。
――高杉、お前はどこを目指してるんだ。
――お前の中には本当にこの世界を壊すことしかないのか。
――それなら私達はもう……。

「なにシケた表情(ツラ)してんだ。せっかくの百鬼夜行が台無しだろーが」
 頭を軽くはたかれて顔を上げると、同じように銀時が遠くの結野アナたちを見ていた。
「袂を分かとうがよ、切っても切れねェ縁ってのがあるだろ。それ手繰り寄せりゃ一緒に歩くぐらいできんじゃねーのか」

――手繰り…寄せる…。

 幼い頃からずっと同じ道を歩んでいた。
 しかし今の高杉は破壊の道へ突き進んでいる。
 『必ずお前を止めてみせる』――あの船の上で双葉は高杉にそう告げた。
 その(すべ)は未だわからない。
 けれど、彼の手を掴んで引き戻したい。
 壊れたまま戻ってこれない高杉の手を。
 また同じ道を歩みたいから。
 もう一度彼の笑顔が見たいから。

――手繰り寄せる、か。そんな糸が見えたら苦労はしないだろうな。
――昔は確かに繋がっていた。同じ想いがあった。
――あの時あった想いは今も高杉の中にあるだろうか。
――いや、例えなかったとしても兄者が言うそんな糸があるなら……

「……そうかもな」
「ほら、とっとと帰ェるぞ」
 面倒くさそうに言いながら歩き始める銀時。
 彼と肩を並べて歩く双葉は、ふいに愚痴をこぼした。
「それにしても、結局タダ働きだったな」
「いいんだよ。見てぇモンは見れたから」
 チラッと後ろを振り向いて、銀時は僅かに微笑んだ。
「そうか。ならコレはいらないな」
「ああ!」
 うっすら笑う双葉が懐から取り出したのは、結野アナのサイン色紙。
「テメーいつの間に!?それよこせ!」
「嫌だ。ネットオークションで高く売る」
「オィィィィ!!」
 飛んで掛かってくる兄をひょいとかわして双葉は走り出す。銀時もその後を全力で追いかける。
 本当はもう一つの懐に『銀時LOVE』と書かれた結野アナのサイン色紙を、双葉は隠し持っているが……それは
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