第8話「ソンナ強ク美シイモノニ私ハナリタイ」
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野アナたちを見て思う。
高杉と兄と肩を並べて歩いている時代があった。
だが今はもうそれぞれの道に突き進んでいる。
高杉は破壊の道に。兄は護る道に。
決して交わることのない道を歩んでいても、また肩を並べて笑える日は来るだろうか。
そう、今の晴明と道満と結野アナのように。
結野衆と巳厘野衆は一千年も争っていた宿敵同士。
けれど『江戸を護りたい』、その想いは同じだった。
【ワイ思うんよ】
【歩む道はちゃうても目指す場所は同じやて】
【目指す場所が同じやったらいくらでも仲直りできまっせ】
――なぁ岩田。本当にそうなのか。
――結野達のように私たちもまた同じ道を歩めるのか。
――……。
――高杉、お前はどこを目指してるんだ。
――お前の中には本当にこの世界を壊すことしかないのか。
――それなら私達はもう……。
「なにシケた表情してんだ。せっかくの百鬼夜行が台無しだろーが」
頭を軽くはたかれて顔を上げると、同じように銀時が遠くの結野アナたちを見ていた。
「袂を分かとうがよ、切っても切れねェ縁ってのがあるだろ。それ手繰り寄せりゃ一緒に歩くぐらいできんじゃねーのか」
――手繰り…寄せる…。
幼い頃からずっと同じ道を歩んでいた。
しかし今の高杉は破壊の道へ突き進んでいる。
『必ずお前を止めてみせる』――あの船の上で双葉は高杉にそう告げた。
その術は未だわからない。
けれど、彼の手を掴んで引き戻したい。
壊れたまま戻ってこれない高杉の手を。
また同じ道を歩みたいから。
もう一度彼の笑顔が見たいから。
――手繰り寄せる、か。そんな糸が見えたら苦労はしないだろうな。
――昔は確かに繋がっていた。同じ想いがあった。
――あの時あった想いは今も高杉の中にあるだろうか。
――いや、例えなかったとしても兄者が言うそんな糸があるなら……
「……そうかもな」
「ほら、とっとと帰ェるぞ」
面倒くさそうに言いながら歩き始める銀時。
彼と肩を並べて歩く双葉は、ふいに愚痴をこぼした。
「それにしても、結局タダ働きだったな」
「いいんだよ。見てぇモンは見れたから」
チラッと後ろを振り向いて、銀時は僅かに微笑んだ。
「そうか。ならコレはいらないな」
「ああ!」
うっすら笑う双葉が懐から取り出したのは、結野アナのサイン色紙。
「テメーいつの間に!?それよこせ!」
「嫌だ。ネットオークションで高く売る」
「オィィィィ!!」
飛んで掛かってくる兄をひょいとかわして双葉は走り出す。銀時もその後を全力で追いかける。
本当はもう一つの懐に『銀時LOVE』と書かれた結野アナのサイン色紙を、双葉は隠し持っているが……それは
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