第8話「ソンナ強ク美シイモノニ私ハナリタイ」
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思議と元気が出たわ。だから私は天道の力で市井の笑顔を護るって決めたの。だけど結局励まされてばっかり」
「そんな事はないさ。お主は真っ当に己の目標を果たしている」
素直に双葉はそう思う。
毎朝テレビにかじりつく銀時や彼女に元気づけられる江戸の人々を見ればわかる事だ。
「それで、あなたはどうして?」
目を輝かせながら結野アナは質問を返す。自分と同じモノが好きな人にとても興味があるのだ。
しかし明るい調子で答えた結野アナとは裏腹に、双葉はどこか重い表情を浮かべた。
「勘違いするな。お主を見て懐かしくなっただけだ」
「え?」
「いたんだよ。昔、仲間の笑顔を護ると決めて闘った奴が」
「……その人、今どうしてるの?」
「さぁな。知ったことじゃない。……だがソイツは今でも笑顔が好きだと思うぞ」
どこか切なそうに双葉は夕焼けを見つめる。
暗さを潜めた物言いは気になったものの、結野アナはそれ以上聞けなかった。下手に深入りすれば今の雰囲気を壊してしまいそうな気がしたからだ。
「で、お主はこれからどうする?」
「もちろん、これからもお天気予報を続けるわ。応援してくれるみんなのためにもね」
降板は決定していたが、批判を浴びても懸命に天気予報を伝える結野アナの姿に心打たれた視聴者から継続の声が殺到し、昔からの人気もあって無事にお天気お姉さんとして完全復活を果たすことになった。
気を取り直して結野アナは、双葉と同じように彼方の空を眺める。
嵐が去り、雲ひとつない空はとてもきれいなあかね色に染まっていた。
「市井の人々にも兄様にも笑顔が戻って本当によかった。でも……」
ふいに結野アナの表情に哀愁が横切る。
「できるなら、あの人にも笑って欲しかった」
「ああ、残念だな。アイツにもこの空を見せたかったんだが」
闇天丸とともに黒き陰陽師の姿は消えた。
敵であったが、最期は一緒に戦った『仲間』だったのだ。
その男の笑顔も見てみたかったと思うが、それはもう叶わない……はずだった。
「ほう、『アイツ』とは一体誰のことだ?」
突然耳に飛びこんでくる男の声。
驚いて振り向く双葉と結野アナが見たのは――
* * *
結野衆の門を背にして銀時は歩き出す。
「どこへ行く気だ」
振り返ると、双葉が普段の冷めた表情で立っていた。
「一族総出の祝宴が待っているそうだが」
「俺ァド派手にもてはやされんのは嫌いなの。帰るぞ」
「そうか。だが、ただでは帰らせてくれなさそうだぞ」
頭に疑問符を浮かべる銀時は、双葉の視線の先を見る。
そこには道の両脇に提灯を持った式神の鬼達がズラリと並んでいた。
「こいつぁ…」
「フハハハハハハハハ!恩人を手ぶらで返すが結野のやり方か」
突然とび出
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