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【銀桜】7.陰陽師篇
第8話「ソンナ強ク美シイモノニ私ハナリタイ」
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わ」
「もとよりお主から術札を貰っていなければできなかった事だ」
 素直に述べる結野アナの賞賛を裏返すように、冷めた声で告げる。
 実は会場へ行く前に一般人の双葉が陰陽師と戦えるようにと、結野アナからお札を貰っていた。
 双葉も銀時と同じく強力な霊感の持ち主とはいえ、修行をしていない彼女は陰陽術を自由に扱えない。闇天丸の光弾が襲った際に対抗できたのは、ひとえに術札を素人でも使えるように施してくれた結野アナのおかげである。
「でも本格的に修行すればきっと名のある陰陽師になれるはずだわ。ねぇ双葉さん、結野衆の陰陽師になってみない?」
「興味ないな」
「じゃあ坂田さんはどうかしら?兄様からけっこう強い霊能力者って聞いたわよ」
「やめておけ。兄者は根っからのサボリ魔だ。『それから3ヶ月経った』とか適当な修行ナレーションで誤魔化して、逃げるのを捕まえるのに手を焼くだけだぞ」
「フフ、お互い手のかかる兄様がいて大変ね」
 生真面目だが妹を焼き尽くすくらいの熱意を持つ晴明。
 無気力でだらしないほとんど甲斐性なしの銀時。
 どちらも世話の焼ける兄を抱え苦労する妹だ。
「そうだな。ま、手のかかる兄を持つ者同士頑張っていけばいいんじゃないか」
「そうね」
「……私はいつも照らされてばかりだけどな」
「え?」
「ところで天気アナ」
 急に冷めた表情になる双葉。
 いきなりの切り替え様に、何事かと結野アナは緊張して何も言えなくなってしまう。
 妙に真剣な目つきで双葉はこう言った。
「お主、ピザ好きなのか?」


「江戸で一番と言えば『ダベー』かしら」
「あそこは石窯焼きだから生地の焦げ具合もチーズのとろけ具合も最高と聞く。一度食してみたいと思っていた」
「グルメリポートで『オシオキピザ』食べたことがあるんだけど、とてもおいしかったわ」
「本当か?」
「ええ。チーズがパリパリしてて、他のピザと違うの」
「それは邪道だな。チーズは具材を包むようにとろけ、張るように伸びて千切れなくてはピザと言えん。ピザ好きならこれは鉄則中の鉄則だろ」
「そ、そうなの?」
 双葉と結野アナはガールズトークならぬピザトークで盛り上がっていた。万事屋に初めて来た時、結野アナがピザ好きであるのを双葉は覚えていたのだ。互いにオススメのピザやお店を言い合い話はどんどん弾む。――といっても一方的にピザのこだわりを双葉が語り、結野アナは少々引き気味に頷いてるだけだが。
「そういえば今度『大江戸万星博覧会』ってお祭りがあるんですけど、そこで宇宙中のピザが集まるブースがあるんですよ」
「それは本当か!?」
 結野アナの情報に、双葉は珍しく驚きの声を上げた。
 『万星博覧会』とは、宇宙各星の文化や名産物が展示され、同時に地球人だけでなく多くの天人が訪れる
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