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歌集「春雪花」
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 流れゆく

  車の音の

   響く夜の

 淋しさにまかせ

    溜め息を吐き



 いつもは然して車の通らない時間に、結構な数の車が通っている。まるで…以前住んでいた都会の片隅を思い出す…。

 あぁ…もしかしたら、彼もこんな風に車の過ぎ行く音を聞いているのではないか…?
 そう思うと淋しさが溢れ…それに任せて溜め息を吐いた。



 月 陰り

  灯り乏しき

   梅雨の夜に

 侘しく一人

     想い巡らせ



 雲が広がって月を隠し、外は真っ暗な闇が横たわるだけ…。
 そんな梅雨の肌寒い夜に、部屋の明かりも小さくして想い返している…。

 彼と初めてあった時…彼と話したこと…彼の笑顔…笑い声…。

 侘しく、虚しいだけの日々…終わることはなく、この先も続くのだろう…。

 彼に会えない淋しさも…ずっと…続くのだろう…。




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