11.剣の姫が掴むもの
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はどうしようもなく意味のない物に思えてくる。アイズに出来ることはは魔物を斬り裂いて、魔法で吹き飛ばして、戦いから生き残ることくらいしかない。
自分の掌に目を落とす。毎日剣を握っている所為でその手は部分的にごつごつしている。それは努力の証であると同時に、それ以外の事を何も学んでこなかった証に思え、アイズは悲しげに俯いた。
冒険者としての自分は高みを目指す剣士だが、それもオラリオの外に出れば一人では何もできない少女でしかない。その事実を、彼女は今更になって思い知らされていた。
= =
結局その日は少年以外に生存者は見つからず、日が沈んでこれ以上の調査は危険と判断したためにカルディスラ近くでテントを張ることになった。
「運び込まれた彼は、ノルエンデの人で間違いないのか?」
「ああ、間違いねぇ。あの銀髪に白い服はノルエンデ民族の特徴だよ。流石に誰かまでは分からねえけどな」
「で、その坊やは今どこに?」
「ああ、今は奥のテントで治癒魔法を使えるって客人が治療してるよ。そのうち目を覚ませばいいんだが……」
兵士団の面々の目線の先、ロキ・ファミリアのテントの中で、一人の少女がもう1時間近く治療を続けていた。
祈るように手を組んで膝をつき、一言も言葉を発さないまま1時間。
しかも、癒しの魔術を使用しながら1時間だ。普通なら魔力が尽きるし、集中力が乱れれば効果は霧散する。そんな高等技術である魔法を維持し続ける集中力は異常だ。ファミリアたちはその様子を感心と羨望の入り混じった目で見守っている。
「――――――」
どこか敬虔で、神秘的なまでのオーラが彼女を包む。
その沈黙を破ることが、何故か周囲にはとても罪深いことに思えた。
魔法を行使していたアニエスは、やがてその指をゆっくりと解いて、小さな溜息をつきながら振り返った。
「………尽きかけていた生命力を回復させました。その過程で目立つ傷も概ね治ったと思います。後は栄養を与えながら安静にしていればいずれ目覚めるでしょう。…………皆さん?どうかしましたか……?」
アニエスが一言も言葉を発さない周囲を不思議に思って声をかける。
一瞬遅れて、メンバーが一斉に興奮した歓声を上げた。
「す、すごい!凄いです!!唯でさえ扱いの難しい治癒魔法を、1時間も行使し続けるなんて!!魔法使いとして尊敬します!」
「なんだよアンタ!エルフの血も継いでないのにとんでもねぇ魔力量だな!!」
「見てよ、患者の顔。あんなに苦しそうだったのにすっかり顔色が良くなったよ?」
「ウチのファミリアに欲しいなぁ……ナジットの客で巫女やなかったら間違いなくスカウトするんやけどなぁ……」
「驚いたな……ヒューマンの『学術魔法』使いか。クリスタル正教で
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