暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
GGO
〜銃声と硝煙の輪舞〜
予選開始
[5/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
イヤー装備の中にベルト型の《対光学銃防護フィールド発生器》なるものが存在する。この存在のため、対人では実弾銃。防護フィールド発生器などを持ち合わせていない対モンスター戦ならば光学銃というのが、GGOでの定説(セオリー)となっている。

だが、セオリーとはやるのが普通と言うだけで、別にしなければならないという訳ではない。

装備から発生する防護フィールドも、彼我の距離によって徐々に減衰する性質を持っている。主に威力の高いブラスターを近距離でブチかまされたら、いかに防護フィールドが展開されているとはいえ、全英攻撃職(アタッカー)にとっては充分脅威になる。

白い霧の向こう側で小柄な影が立ち上がる。

迷いは、なかった。

ステアーの5.56ミリ口径の銃口から連なる銃声が響き渡る。うっすらと見える陽炎を千々に引き裂く。

再度の閃光。

爆発的に膨張した紫光が強烈な熱波を生み、男の前髪をなぶる。

バフォ、というくぐもった音とともに霧が左右に分かれ、彼の視界内にとうとう対戦者の姿が露わになった。

小柄な少女アバターだ。

一般的なデジタル迷彩柄のBDUに、分厚いサバイバルベスト。星空を切り取ったかのように輝く黒髪は腰ほどまで続いている。

だが、そんなことよりもハワードの眼を釘付けにしていたのは、彼女の持つ得物のほうだった。

小さな黒い金属製の円筒から一メートルほどまで伸びる、同じく円筒状の物体。それ自身が薄紫色に発行していることから、それが実態を持たないエネルギー体であると解かる。

光剣。

またの名をレーザーソード、フォトンソード、ビームサーベルなど。

ナイフを除くと、GGO内で唯一の有用な近接戦闘用武器だ。銃と比べると文字通り雲泥の差の射程距離差に目を瞑ると、単純な威力では対物ライフルの一撃をも超えるかもしれない。

それが、二振り。

パッと見、彼女にそれ以外の武装はない。仮にあったとしても両手に持っているため、とっさに手に取ることはできないだろう。

思わず固まっていると、快活でどこか幼さを色濃く残したあどけない声が聞こえた。

「う〜ん、すっごくいいね!キリトの二刀流ってそんなに見れてないけど、だいたいこんな感じかな?」

にっと。

声によく似合う無邪気な笑みとともに、少女は初めてこちらに顔を向け、()()()()()かのように小首を傾げた。

「あれ?お兄さんがボクの対戦相手?」

な……、と。

絶句した。

二の句も告げずに、ただただ絶句した。

つまり、この少女は今の今まで《素振り》をしていたのだ。どこに向かうともなく、ただ己の中で納得させられるような水準まで剣技が身体に《張り付く》まで。

ただ、
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ