暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
GGO
〜銃声と硝煙の輪舞〜
予選開始
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少の物音が立つのを覚悟してでも全力で交代することだった。

ぬかるんだ泥に根を生やした丈の高い緑のカーペットを蹴り上げながら、あくまで銃口は球体があるべき方向に向けたまま後退する。いつ足を取られるか分からない、ジャングルの中での移動法としては決して褒められたものではない移動法だが、警戒しながら後退するにはこれくらいしかない。

索敵可能範囲に引っかかる限りで見つけられたのはあの球体のみで、対戦者を見つけられた訳ではない。眼前に迫る異常に注意を引かれて別方向から蜂の巣など間抜けすぎる結末である。

肉眼での確認はまだだが、スコープで確認した時の速度をまだ維持しているのなら、こうして後退している間も高温の球体は着実に近づいているはずだ。決して高速とは言い難い速度だったため、まだ安心していられるが、それでも途中で速度アップした可能性は否めない。

そんな不安要素を頭の中で組み立てたとほぼ同時、視線前方の空気が轟音とともに大きく揺らいだ。

かなり近い。やはり、彼我の距離は狭まっている。

距離を取ることを諦めたハワードは、ガカッと泥を撥ね飛ばしながら停止しながら素早く腰に横一列にぶら下げている鋼鉄の球体を手に取った。半ばベルトを引き千切るように力任せにブン取られた黒い球は見事な投擲フォームからかなりのスピードで真っ直ぐ放られた。

その球の正体は、大型のプラズマグレネード。

通常の手榴弾とは違い、SFチックなプラズマ力場を発生させ、その内部にいたものはよほどの奇跡が起こらない限りHPが吹き飛ばされるという高威力を誇る割に安価であるそれは、接近戦になった際のお守り代わりに流通していて、彼もその例には漏れずにいた。

所詮は素手。滑らかな放物線を宙空に描いた黒球は視界外の草地の中に吸い込まれ、その全容を隠す――――はずだった。

垂れ下がるツタと枝葉。

その向こうから突如として紫の閃光が迸り、たった今その方向に行こうとしていた黒球をあっという間に呑み込んだ。

音すらなかった。

ただ圧倒的に、掻き消す。

数瞬遅れ、彼の聴覚に音の調べが戻ってくる。先刻聞いた謎のサウンドエフェクト。その音源は閃光の触れた地面から起こっていた。

紫がかった光に当てられた泥は一斉に軽度の水蒸気爆発を引き起こしていたのだ。もうもうと立ち昇る多量の水蒸気によって、ただでさえ狭い視界がさらに利かなくなってきた。

もう理解できる。

あの爆発音めいたサウンドエフェクトは、この対戦者が放つレーザー属性攻撃によるシステム的な現象によるものだったのだ。

GGOでの銃器は、大きく分けて二種類に分割される。光学銃と実弾銃だ。

実弾とは違い、光学銃のレーザーの弾倉というところであるエネルギーパックは安価で軽いのだが、プレ
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