暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
GGO
〜銃声と硝煙の輪舞〜
予選開始
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まきながら半狂乱の体で逃走する彼の脳裏には一つの言葉しか浮かんでこない。

どうしてこうなった、と。

確かに、彼はお世辞にも上位のトップ達と見比べるといささか見劣りすることは否めない。

バレット・オブ・バレッツが求めるのは《単体で》強い者達であって、《指揮が得意》な者ではないのだから。彼自身をこの大会へと駆り立てた副長も、本戦に行ければ御の字だと言っていた。実際、男自身もそう思っている。

それでも――――それでも思っていた。

決して驕りや油断、慢心ではなく、単なる当たり前の事実として予想していた。

予選ぐらいは、行けるかもしれない。

何度も言うが、彼は中堅スコードロンリーダーの、中堅プレイヤーである。結構な場数と経験を積んでいる彼にとって、そうそう失敗はおかさないはずだった。

運悪くトップランカーと当たったならいざ知らず、予選段階で障害となるものなど存在しないはずだった。

だが、だがである。

一回戦――――初めの初めでここまで追い込まれるとは夢にすら思わなかった。

ステージは密林(ジャングル)。荒廃した世界が世界観となっているGGOの一般フィールドには存在しないものであるが、彼はあらゆる地形タイプを想定した潤沢な装備を持ってきていた。これも、スコードロンを治めるリーダーならではの荒業だ。

喜んで金を集めてくれたメンバー達に誓い、半端な結果は許されない。そう心に刻み込みながら、彼はジャングル戦用の迷彩服(BDU)と同柄のヘルメットを身に纏い、ご丁寧に顔までペイントを施した。

対戦相手に指名されていたのは【Yuuki】。ユウキと読むのだろうその名に聞き覚えはない。おそらく新星なのだろうが、実力に未知数がかかる代わりに、あらかじめ実力のほどを知るランカー勢と当たるよりは何倍もいい。たまにバンザイアタックまがいに参加してくる一般プレイヤーの可能性も考えると、かなり心が軽くなるというものだ。

一分の装備交換時間を過ぎ、ハワードは青い転送光とともに対戦フィールドに飛ばされた。

軽い眩暈のような転移時独特の感覚から覚めた彼を出迎えたのは、圧倒的に天空を占める梢やツタによって限界まで抑圧された陽光だった。

軽く薄緑に染まった暗闇の世界をぐるりと素早く睥睨してから、ハワードは素早く腰を折り、膝ほどまでの高さまで伸びる丈の長い草地にべったりと胸をつけ、首を伸ばして目から上だけを出した。

密林独特の、見通しのきかない視界の中で急いで索敵を行うが、長い時間の中で鍛えられた彼の索敵スキルをもってしても一向に引っかかる気配はない。百メートルや二百メートル間でドンパチをするGGOでは、その索敵スキルの効果も相応に高まっている。最低でも相手は五百メートル離れている目算だ。

そこまでを
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