六十三話:最恐の骸殻能力者
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ーン魔術の一種である。
中からの脱出は結界の創り手である彼の意思以外では不可能だ。
簡単には習得出来る物ではないのだがあっさりと使いこなしてしまうあたりに彼の非凡さがうかがえるだろう。
「……あなたは拳一つで戦う人だと思っていたけど」
「数ある選択肢の中から最善の手を引き出しているまでだ。使えんわけではない」
若干引きつった顔で呟くヴァーリに対して淡々と答えるビズリー。
拳で戦うからと言って何も拳以外が使えないわけではない。
その気になればいかなる武器であろうと十全に扱える。彼がルドガーの父親であるという事を考えれば何もおかしいことは無いだろう。
だが、彼は己の拳一つで戦う。何故か?
それは実に簡単な理由だ。彼の拳はどんな武器よりも―――強いからだ。
刹那、一瞬で間合いを詰めその拳を振りかざすビズリー。
ルドガーも素早く双剣を創り出して拳を防ぐ。轟音と震動が響き渡り彼の手を震わせる。
そして、耳に届く刃が軋みひび割れる音。
彼は嘘だろと叫びたくなりたくなりながらも続いて襲い掛かって来たもう片方の拳を防ぐためにアルヴィンの大剣を創り出す。
「ぐう…っ!」
「武器が神器で命拾いをしたな、ルドガー」
流石に大剣は壊せないのか受け止められた拳を引き、隙を突く様に斬りかかって来たイリナと滅びの魔力を撃ちだしていたリアスの攻撃を避け元の位置まで下がるビズリー。
ルドガーはそれに対して短く息を吐き気合を入れ直す。
まさか、ただの拳で武器を砕いてくるとは思わなかった。
今度からは真正面から受け止めるのは避けようと考えるがそれがどこまで役に立つかは分からない。
なぜなら―――
「慣らしは終わりだ。ここからは本気でいかせてもらう」
―――彼の本気は今ここからなのだから。
「ぬぉぉおおおっ!」
黄金の時計を構え、雄叫びを上げながらその姿を変えていくビズリー。
辺りには業火が撒き散らされ、時折黒い雷の様な物が宙を舞う。
力の波動は嵐へと変わり荒野を吹き荒らす。
ルドガー達はその凄まじい力に押され、まともに立っていることすら難しい。
そして、この世の災厄を全て詰め合わせたような現象も終わりを告げ、ビズリーが姿を現す。
黒を基調とした装甲が全身を覆い、彼の心に燃え上がる憤怒の炎のように赤い模様が身体に現れる。
だが、特筆すべき点はそこではない。
その背中から生えるものだ。
常夜の闇を思わせる漆黒のドラゴンの翼。それが六対十二枚。
オリジンの無の力と融合したようにどす黒い靄を発しながらそこにあった。
「なんて……禍々しい力だ…っ!」
「何だか……肌が痛いですぅ」
「これが世界の頂点に
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