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猫の憂鬱
第4章
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い看護師が病室から飛び出した。
「師長…、師長、如何しましょう…、おしっこ漏れそう…」
ええそうね、と空っぽのベッドに師長は呟いた。


*****


不躾にドアーが開き、窓の外を見ていた時一は、無理矢理回転させられた椅子から立たされた。
「御前、大概にしろよ…」
垂れた目を吊り上げ、鬼の形相で自分を睨む宗一に、時一は笑いはせず、静かに離してと云った。
あれから連絡受けた宗一は、看護師達を責める事せず、其の儘時一の病院に向かった。阿保院長に話がある、と其の気迫に、時一側の看護師達は引き留める事が出来ず、又、宗一が来た事も知らせる事が出来なかった。
「警察呼びますよ。」
「黙れ!」
院長室を心配そうに見る看護師達を時一は大丈夫だからと手で追い払った。
「御免、ドアー閉めて。此の人、怒鳴ると声凄いから。」
「人の話を聞け!」
確かにそうだ、と宗一の怒号に身体が痺れた看護師は静かにドアーを閉め、警察呼ぶ?と暢気に繰り返した。
血走る目を見詰めた儘煙草を咥えた。
「返せ。」
「嫌。」
「御前、自分が何したか判ってんのか!」
「ちっとも怖くない、叫ぶだけ疲れるだけだし、止めたら?」
「御前はそうやって、又、患者を作り出すんか…」
胸倉掴まれた儘時一は煙草に火を点け、首を仰け反らせ、煙を吐いた。
「あのさぁ、宗一。あんた、もう生粋の外科医じゃないんだろう?片手間で患者診る医者に、患者取った取らないって、正直鬱陶しいよ。」
「そんな話してるんやないやろ、今は!」
御前は又長谷川のような人間を生み出す気なのか?
其の言葉に時一の目に表情が表れ、此れが時一の目かという程きつく、冷たい視線を向けた。
「御前は、又同じ事する気か!?親父と同じやないか、やっとる事!患者でっち上げて、隔離して、暴利貪っとるあの男と同じやないか!御前、何処迄落ちたら気ぃ済むのん!」
「でっち上げじゃない、雪村さんは、治療が必要です。」
「御前が出て来る必要無いの!こんな病院、潰れたらええんや!無駄にでかくなって、鬼畜の所業やな、ほんま。親子二代で何してんの。」
「今の、謝って。此処は、必要だからあるんです。」
「そら親からして見たら、頭のおかしな子供厄介払い出来てええわな、けどな、御前がしとるんは、医者の行為や無い、ヤクザと同じや。治療もせんと何年も何年も監禁して、親から金奪って、医者やったらな、治せや、此処から患者、一人でも退院させてみろや!」
何でこんなに此の人は熱血なんだろう、と時一は侮蔑した。血走る目を見た儘灰を落とし、消した。
「帰って、邪魔だよ。」
「タキガワと一緒ならな。」
「だから、断りますって。」
「ええか?主治医は俺、俺の許可無く患者出すな!」
「なら、此方も云わせて頂きますよ。」
掴まれた手首は、思
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