第五章
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「ダンスだけだとラップは今一つだからな」
「映えないっていうんだな」
「そうだよ、やっぱり歌もないとな」
「じゃあ丁渡いいか」
「そうだな、じゃあ俺もな」
岳は俊介がやる気になったのを見てだ、自分もと言った。
「作詞作曲するな」
「御前も作るのかよ」
「御前がやるならってな」
微笑んでの言葉だった。
「やる気になったよ」
「そうか、それじゃあお互いに作り合おうな」
「俺はちょっと違うぜ」
「違う?」
「コメディー調だよ」
そうした歌をというのだ。
「そっちでやっていくからな」
「ラップでコメディーかよ」
「だからラップは社会問題だけじゃないんだよ」
歌に扱うものはというのだ。
「だからいいんだよ」
「俺はコメディーな歌はな」
「そうだろ、俺はそっちもやっていくからな」
こう俊介に言ってだった、岳も実際に自分自身で作詞作曲をはじめた。そうしてお互いに歌に曲を作ってだった。
お互いの歌をチェックし合って自分達で歌った、勿論ダンスも忘れない。
歌い踊るその中でだ、俊介は岳に言った。
「違うな」
「どう違うんだ?」
「ダンスだけの時よりもな」
「歌もあるとだろ」
「ああ、違うな」
「日本語でもいいな」
「まさかな」
意外という顔だった、今の俊介は。
「いいなんてな」
「そうだろ、っていうかな」
「っていうか。何だよ」
「御前これまでまともなラップ聴いてこなかったんじゃないのか?」
日本語のそれをというのだ。
「ひょっとして」
「そうか?」
「まともな曲聴かないとな」
ラップにしてもというのだ。
「やっぱり駄目だよ」
「そうか、言われてみれば」
「ああ、だからな」
「これまで真価がわからなかったってことか」
「あとな」
さらに言う岳だった。
「御前先入観強いからな」
「日本語のラップは駄目だってか」
「最初から決め付けてただろ」
「そうだな、確かにな」
俊介も言われてそのことを否定出来なかった、その指摘を。
「俺もな」
「そうだろ、先入観で駄目だと思うとな」
それこそとだ、岳は俊介に言った。
「それで先に進めないだろ」
「ああ」
「そういうことだよ」
「何か俺も色々とな」
ここまで岳に言われてだった、俊介は自分のことを振り返りそのうえで岳に対して考える顔でこう返した。
「誤解っていうか。思い込んでたな」
「ああ、何かとな」
「それが変わったな」
「いい意味でな」
こう言ったのだった、そうしてだった。
俊介は岳と共にラップの作詞作曲もしていった、これまで完全に否定していた日本語によるそれを。それを楽しみさえしていた。
ジャパニーズ=ラップ 完
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