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ザルツブルグの続き
第一章
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難しい顔でまた言った。
「そのことはね」
「しかしです」
「マエストロ=トスカニーニはです」
「あの方はです」
「そのことがわかっておられない」
「随分感情的ですね」
「確かにね、政治と音楽はね」
 今度はだ、ワルターはトスカニーニについて語った。
「無関係ではいられない」
「今はですね」
「ナチスは音楽も大々的に利用しています」
「それでドクトルもです」
「ナチスに持ち上げられています」
 ドイツを代表する音楽家としてだ、特にゲッペルスが宣伝している。ナチスの宣伝相である他ならぬ彼がだ。
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