暁 〜小説投稿サイト〜
イタリア男
第三章

[8]前話 [2]次話
「同性愛者ではありませんし」
「そうだね」
「しかしです」
「自分から積極的に声をかけることは」
「苦手です」
 こう弟に告白するのだった。
「昔から」
「兄さん奥手だからね」
「イタリア男が誰でも積極的なのか」
「そうかというとね」
「違います」
 難しい顔でだ、ザンカリーノは言った。
「そうではありません」
「誰もがそうじゃないのに」
「何故かそう思われます」
「日本でもだね」
「もっと言いますと」
 ザンカリーノはスパゲティをフォーク、スプーンまで使ってそのうえで食べながらジャコモに対して話した。
「このスパゲティ、いえパスタ自体が」
「パスタ全体がだね」
「確かにイタリアのソウルフードですが」
「けれど誰もが好きかというと」
「違います」
「そうなんだよね」
「中には好きでない方もいます」 
 パスタが嫌いなイタリア人もいるというのだ。
「ごくごく稀にしても」
「そうだよね」
「歌が好きでないイタリア人もいます」
「それがどうしてかね」
「イタリア人であるなら」
 まさにだ、この国で生まれ育った人ならばというのだ。
「女性に自分から積極的に声をかけパスタと歌を愛する」
「そしてワインは手放さないね」
「カプチーノも好きで」
「先入観があるね」
「日本でもそれが強くて」
「困っているんだ」
「そうしたイタリア人になってみせることについて」
 ザンカリーノは実際にやや疲れている顔で話した。
「疲れを感じています、ただ」
「ただ?」
「かくいう私もです」
 ザンカリーノ自身もというのだ。
「日本人といえば」
「ああ、兄さん話していたね」
「忍者がいると思っていました」
 今度は少し苦笑いになってだ、弟に話した。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ