第三章
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そのいじめに耐え兼ねてだ、彼をいじめていて今はいじめられている少年達は親に泣きついた、彼等の親達は仰天して担任の先生と校長先生、地域の教育委員会やPTA等に直訴した。
それを聞いてだ、担任の前川由規先生は仰天した。
「そんなに酷いのですか」
「あの、先生はいじめのことは」
「気付いていなかったんですか?」
「うちの子全身傷だらけなんですよ」
「ランドセルもボロボロで」
「ものも壊れていて」
「酷いんですよ」
親達は口々に言った、それで前川先生もだった。
慌てて生徒達にどんな状況なのか聞いた、祐作も先生の前ではいじめていない。無論いじめグループもかつてはそうしていた。
それで他の生徒達から事情を聞いた、そうしてさらに仰天した。
「そんなに酷いのか」
「あの、先生は知らなかったんですか?」
「宮城君酷いんですよ」
「もう毎日何度もいじめていて」
「それも酷いなんてものじゃないんですよ」
「最悪なんですよ」
生徒達も告発する様に言う。
「ですから本当に」
「何とかして下さい」
「宮城君確かにいじめられてましたけれど」
「今は宮城君がいじめてます」
「あのまま放っておいたら誰か怪我するか自殺します」
「先生が止めて下さい」
生徒達も必死に告発する、祐作のいじめがあまりにも酷いからだ。
そしてだ、校長先生も前川先生に言った。
「事情は聞いたが」
「はい、とんでもないことになっていますね」
「あの子はそこまでしているのか」
「そうなんです」
先生もこう答えた。
「どうしましょう」
「止めるしかない、しかし」
校長先生も言う、前川先生の四角い顔と丸い目を戸惑わせたその表情を見つつ。
「いじめられていた子がね」
「そこまでいじめるなんて」
「人は変わるものだな」
「そうですね」
「何でそこまで変わるのか」
校長先生も首を傾げさせていた。
「わからないな」
「全くですね、ですが」
「彼の保護者の方を呼んで彼自身にもね」
「お話しないと」
「そして止めないとな」
「本当に大変なことになります」
前川先生もここに至ってこの状況を理解した、そして。
そのうえでだ、すぐにだった。
前川先生は祐作と彼の母親である千歌と会った、具体的には家庭訪問をしたのだ。そうして事情を話してだ。
あらためてだ、先生は祐作に問うた。家のテーブルに座って。
「あの、どうしてそこまで酷くいじめるのかな」
「前にやられたからです」
「仕返しなんだね」
「そうしないと気が済まないです」
彼は先生に正直に答えた。
「あの時のことを思い出して、それに」
「それに?」
「僕強いですから」
「強いから!?」
「強いから、強くなったからいじめられないんですよ」
こう先
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